富士経済は2020年3月17日、画像処理システムの世界市場の調査結果を発表した。2019年9月から12月にかけて調査を行っており、単体機器として処理装置、カメラ、キーコンポーネンツ、検査アプリケーションとしてデバイス関連、基板実装関連、自動車関連、製紙/印刷関連、食品/薬品/化粧品関連、さらに観察/測定関連機器、AI(人工知能)/ディープラーニング応用製品を対象とした。
同調査によると、2019年の画像処理システムの世界市場は、対前年比5.2%減の1兆2836億円の見込みとなった。米中貿易摩擦が想定以上に長期化、深刻化したことによる景気減速と設備投資の落ち込みにより、画像処理装置や画像センサ、FA用エリアスキャンカメラ、FA用ラインスキャンカメラなどの主要処理装置やカメラなどの機器、デバイス関連、基板実装関連の検査アプリケーションを中心に縮小したと推定した。一方、自動車関連や食品/薬品/化粧品関連の検査アプリケーション、AI/ディープラーニング応用製品は拡大したものと推定している。
2022年の画像処理システムの世界市場は、対2018年比10.9%増の1兆5024億円と予測した。製造現場における画像処理や画像活用の需要増、省人化目的でのシステム導入増、イメージセンサの本格的なデジタル化への移行、スマートフォンベースの画像処理装置の登場、ディープラーニングによる大手IT企業の外観検査ビジネスへの参入などが拡大予測の要因となっている。
分野別では、ディープラーニングを活用した画像処理ソフトウェア市場が、2019年に対前年比54.8%増の48億円と大きな伸びが予測されている。同分野では2017年に実証実験を中心として市場が立ち上がっており、2019年には本格導入により大幅な拡大が見込まれていたものの、導入がスムーズに完了しなかったケースもあり想定より小幅な伸びに留まったものとみられる。2022年には、対2018年比で6.6倍の204億円が予測される。
富士経済は、今回の調査結果の詳細をまとめた『2019 画像処理システム市場の現状と将来展望』を発刊している。