ビタミンと海苔で「食べられる充電池」を開発

イタリア技術研究所(IIT)は、「食べられる電池」を開発した。材料すべてが食品に含まれる物質という充電式電池で、小型LEDを点灯させるのに十分な電力を供給する。研究成果は、『Advanced Materials』誌に2023年3月15日付で公開されている。

「食べられる電子機器」は、消化器疾患の診断や治療、食品の品質モニタリングなどに応用できる可能性があり、近年成長している分野だ。食べられる電子機器の開発における重要な課題の一つに、食べられる電池の実現がある。

IITの研究グループは、生物が体内で行なっている生化学的な酸化還元反応に着想を得て、食べられる電池を開発した。アーモンドなどに含まれるリボフラビン(ビタミンB2)を陽極に利用し、陰極にはケッパーなどに含まれており、サプリメントや食品添加物としても利用されているポリフェノールの一種であるケルセチンを利用している。ショートを防ぐためのセパレーターは海苔で作られ、電気伝導率を高めるために市販薬に広く使用されている活性炭を用いている。電極は蜜蝋で包まれていて、セルロース系物質を支持体とする食用金箔2枚が含まれる。

この電池は、摂取しても人体に問題が生じない程度の電圧である0.65Vで動作する。48μAの電流を12分間、数μAの電流であれば1時間以上供給することができる。低電力LEDなどの小型電子機器にとっては、十分な電力供給量だ。

食べられる電池は、健康診断や食品の品質モニタリング、食用ソフトロボットなどへの利用が考えられる。また安全性が高いため、誤飲の恐れがある幼児用玩具への使用も適している。研究グループは、すでに大容量化、小型化など電池の改良を進めており、食用ソフトロボットへの搭載も視野に入れている。

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