伝染病の流行をより効果的に追跡できる新しい数学モデル

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米プリンストン大学は、2020年3月25日、米カーネギーメロン大学の研究者たちと共同で、伝染病の流行をより効果的に追跡できる新しい数学モデルを発表した。このモデルは病原体の変異を考慮に入れて、伝染病流行の変化を追跡するもので、現在、研究者らは、流行を食い止めるための公衆衛生対策を考慮したモデルへの応用に取り組んでいる。

研究成果は、『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』において2020年3月17日付で発表されている。

現在、感染拡大を追跡するために使用されているモデルは、医師や医療従事者からのデータを使用して伝染病の進行を予測しているが、ほとんどのモデルでは病原体の変異について考慮されていないという。

病原体の変異を考慮に入れることは、感染拡大防止対策を講じる際に非常に重要で、隔離命令を出したり、ある地域に追加リソースを送り込んだりする時期などの判断に役立つ。

今回開発されたモデルでは、物理的な現象をパラメーターとして抽象化することで、感染対策や病原体の変異がもたらす影響をより簡便に理解することができる。

モデル開発は、生物学的感染症の広がり方と著しく類似しているソーシャルネットワーク上の情報拡散の研究から始まっているという。情報自体にわずかな変化が加わると、情報の広がり方は顕著に影響を受ける。

例えば、ある情報を受け取った人にとってその情報が興味をそそられるものだった場合、その情報を他の誰か1人に提供することもあれば、多人数のグループに拡散することもある。このような違いをモデル化することで、情報自体の変化がどのように次のターゲットを変えていくのかを予測できるのだという。

「ネットワークを介した噂や情報の拡散は、ある集団内でのウイルスの拡散と非常に似ています。異なる情報は伝わる速度が異なっています。私たちのモデルでは、ネットワークを介して広がる情報の変化と、その変化が広がり方にどのように影響するのかを考察できます」とプリンストン大学のH. Vincent Poor教授は説明する。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行でみられるように、状況が毎日変化する現在進行形のパンデミック(世界的大流行)では正確な情報を取得することは非常に困難であり、データを収集して決定を下すまでの期間を待つことももどかしい。新モデルによって、この空白を埋めることができると研究者らは期待している。

モデルの応用がうまくいけば、新型コロナウイルスの感染拡大が予測よりもはるかに急速である理由を理解する手法を政府機関等に提供でき、効果的かつタイムリーな対策を展開する一助となるであろう。

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