- 2020-5-11
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- Science, タンデム型積層構造太陽電池, ペロブスカイト・シリコン2層太陽電池, ワイドバンドギャップペロブスカイト, 太陽電池, 環境ハザード, 韓国科学技術院(KAIST)
環境ハザードに耐えることができ、しかも電力変換効率が26.7%という新しいタイプの太陽電池が開発された。韓国科学技術院(KAIST)を中心にした国際研究チームによるもので、研究成果は2020年3月26日、『Science』に掲載された。
ワイドバンドギャップペロブスカイトと呼ばれる新しい種類の光吸収材料は、電力需要を処理できる非常に効果的な結晶構造を持っている。ところが湿気や過度の光などの環境要因によって劣化しやすいという問題がある。
今回の研究では、光吸収剤を積層して太陽エネルギーをより有効に利用するため、2層構造の太陽電池を構築した。これにペロブスカイトを用いるためは、光学特性を修正して幅広い太陽エネルギーを吸収できるようにする調整が必要だが、これによって環境要因に対して非常に脆弱になってしまうことが分かった。
研究チームは、これを防ぐために、ペロブスカイトの2次元層を構成する分子の混合比を注意深く制御し、安定化することに成功した。1000時間の連続照射後でも初期の電力変換能力(20.7%)のうち80%を維持した。ワイドバンドギャップペロブスカイトでこのような高効率が達成されたのはこれが初めてだという。
また、シリコン太陽電池と組み合わせた、タンデム型のペロブスカイト・シリコン2層太陽電池を作成したところ、26.7%という高い電力変換効率を達成した。
研究チームは現在、電力変換効率30%以上と予想される、未だ誰も達成していない高効率のタンデム型積層構造太陽電池の開発に注力しているという。
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