造形後の加熱で体積が40倍に膨張するSLA方式造形樹脂を開発

カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、3Dプリント後に加熱することで最大40倍の体積まで膨張する新素材を開発した。研究成果が2020年4月8日付『ACS Applied Materials&Interfaces』に掲載されている。

一般的な3Dプリンターでは、最大造形エリアは3Dプリンターよりも小さくなければならないという制限がある。また、3Dプリンティングの一種であるSLA(光造形)方式では、感光性樹脂のレイヤーを露光させながら積層するが、大型のオブジェクトを制作するためには小さな部品を貼り合わせる必要がある。巨大な機械で大きな部品をプリントするのは、場所を取る上に造形時間が長くなり、実用的ではないためだ。

今回研究チームは、安価な市販の3Dプリンターで大型のオブジェクトを造形できるよう、造形後に膨張する樹脂の開発を目指した。そして、さまざまな樹脂の配合をテストし、造形後のキュアリング処理で加熱すると、膨張する組成を見出した。この樹脂を使い、内部が空洞になった格子状の球体を3Dプリントし、オーブンでこの球体を加熱すると、樹脂の揮発性成分により発泡し、元のオブジェクトの最大40倍の体積の、多孔質の発泡ポリスチレンのような材料ができた。

研究チームは、この手法を使い、膨張前は10g、膨張後は250g以上を載せることができるボートの模型や、膨張後に発電する風力タービンなど、多くの形状を3Dプリントした。

現時点では、この新素材は発泡ポリスチレンほどの強度はないが、建築、航空宇宙、生物医学への応用が期待されるという。例えば、緩衝材や浮力補助具、さらには宇宙開発用途の居住区施設などに使用される可能性があるとしている。

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