広視域角で高解像度のホログラフィを動画化――全半球観察型の立体映像技術の実用化に向けた一歩 東京農工大学

東京農工大学は2020年7月28日、同大学大学院工学府および工学研究院の研究チームが、広視域角で高解像度のホログラフィを動画化したと発表した。立体映像技術の発展に寄与することが期待される。

光の波面を記録/再生する技術であるホログラフィは、将来の立体映像技術として注目されており、実用化には超高密度の表示用デバイスが必要となる。光の波長以下の単位構造を有するメタアトムを配列したメタサーフェスを用いることで、高画質の投影が可能となる一方で、従来はフレーム数を2〜3程度にしか増やせず、動画の表示が困難である点が課題となっていた。なおメタサーフェスとは、原子より大きく光(電磁波)の波長より微小な構造体を原子や分子に見立てて配列することで、自然界には存在しない屈折率を実現した材料を指す。

同研究チームは、電子線描画装置などを用いて1枚の基板上に48フレームからなるホログラム列を作製した。各フレームは画素数2048×2048と高い解像度を有しており、金の開口をメタアトムとして用いた、画素ピッチ300nmによる全半球の広視域角を有するメタサーフェスにより構成される。作製したホログラム列に波長633nmのレーザー光を機械的に走査することで、最高再生速度30fps(フレーム/秒)の動画化が実現した。

投影像の抜粋

同研究チームは今後、立体映像の投影やカラー表示化を進めるとしている。また、長時間の動画を記録するためには、記録媒体や製造技術の革新も必要となる。

さらに、将来的にメタアトムが変調機能を備えるようになれば、フレーム数の制限を受けない投影が可能となる。全半球観察型の立体映像技術の実用化に寄与することが期待される。

プレスリリース

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