マイクロ流体冷却流路を電子チップに統合するオールインワン設計――熱源の真下を冷却液が通って優れた冷却性能を発揮

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単一チップにトランジスタとマイクロ流体冷却流路を組み込んで非常に優れた冷却性能を発揮し、かつ、低コストのマイクロ流体冷却技術が開発された。この研究は、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)によるもので、その詳細は2020年9月9日付で『Nature』に掲載された。

小型化された電子デバイスは大量の熱を発生させるため、性能を維持するには放熱する必要がある。マイクロ流体冷却流路をマイクロチップの一部として組み込み、冷却液をチップに直接接触させることで、優れた冷却性能を発揮することができる。しかし、このような冷却システムを組み込むと、チップ製造は大幅に複雑化するため、潜在的にコストが増大するといった問題がある。そのため、これまでのマイクロ流体冷却システムは、電子チップとは別のモジュールとして設計製造した後に、熱源または市販チップに接合されていた。

今回の研究では、マイクロ流体流路をトランジスタのホットスポットのすぐ近くに配置して発生箇所で熱を除去し、デバイス全体に熱が広がらないようにするというマイクロ流体冷却技術を開発した。その製造プロセスは複雑ではないので、製造コストも低いという。

研究者らは、このシステムを「mMMC(monolithically integrated manifold microchannel)」と呼んでいる。これは「EMMC(embedded manifold microchannel)」として知られている3次元冷却システムを、チップと一緒に単一のダイに組み込んで製造したものだ。

その製造プロセスは、まず、窒化ガリウム(GaN)層でコーティングしたシリコン基板に細いスリットをエッチングする。このスリットの深さが流路の深さを決定する。次に、等方性ガスエッチングと呼ばれる加工技法で、シリコンのスリットを流路の最終的な幅まで広げる。また、流路の短い部分が接続されて、より長い流路システムができる。最後に、流路上部にあるGaN層の開口部を銅で封止する。そしてこの後、GaN層に電子デバイスを製造することができる。

流路はチップのアクティブ領域の真下に埋め込まれるため、冷却液は熱源の下を直接通過することになる。こうして、デバイスが生成する熱を冷却液が効率的に放散する。今回の実験では電気を通さない脱イオン水を冷却液として使用したが、トランジスタからさらに多くの熱を除去できるように、研究者らはより効果的な他の液体もテストしている。

このシステムでは大型のヒートシンクを必要としないため、研究チームは、単一チップ上に超小型の電力コンバータを製造できることも示している。EPFLのElison Matioli教授は、この冷却技術により、電子機器のさらなる小型化が可能になり、世界中のエネルギー消費を大幅に削減できる可能性があるとしている。

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