5Gでつながる車の未来――5GAAが2030年までのロードマップを発表

自動車および通信業界によるグローバル団体「5GAA(5G Automotive Association)」は2020年9月9日、自動運転システムに関するユースケース、コネクティビティ、周波数帯域に関する2030年までの包括的なロードマップを発表した。高度な運転支援技術の発展は、5Gへの対応がカギとなるとしている。

現在、既に2億台近い「(広義の)コネクテッドカー」が世界中を走行しており、セルラーネットワークを介して交通情報をやりとりできる車両の数は増加している。5GAAは、現在導入が始まった5G通信を活用したコネクテッドカーの基礎は十分確立されていると考えている。

ロードマップでは、今後数年で車とすべてのモノをつなぐ「V2X(vehicle-to-everything)」の大規模な展開が進み、5G通信を利用する5G-V2Xのユースケースを中心に、より効率的で安全な運転が実現するとしている。LTE-V2Xは基本的な安全のユースケースで、5G-V2Xは高度の運転に対応すると考えている。

2024年までに、道路設備と車が「つながり」、リアルタイムの道路情報、災害への警告、高精度の位置情報サービスが可能になるという。また、緊急ブレーキ制御灯(EEBL)や左折支援といった技術の展開も予想している。

2025年以降、自動バレーパーキングや車両の遠隔操作といった、より先進の自動運転と安全のユースケースが大規模展開されると予測し、2026年に向けて、センサーデータの共有や協調制御など、さらに自動運転の開発が加速するとしている。2029年には、交差点における運転支援も可能になるとしている。

これらシステムを実現するために、5GAAは各国および地域の行政機関に、対象となるモバイル通信ネットワークにおいて十分な電波帯域を利用できるように求めると同時に、道路ユーザーと道路設備の間の通信に5855~5925MHzの利用を提案している。

以上を踏まえて、5GAAはコネクテッドカーが真価を発揮するには、1)5.9GHzにおける短距離直接通信に十分な帯域、2)道路を広くカバーできる高レベルのモバイルネットワーク、3)国際的な移動通信システム(IMT)で現在認められている帯域に加えて、モバイルネットワークベースの通信に十分な、サービスに依存しないモバイルネットワークの帯域が必要だとしている。

「この取り組みを成功させるには、通信や自動車などあらゆる産業のステークホルダーが一体となる必要がある。そうすることで初めて、このエコシステムに拍車をかけるための新しいビジネスチャンスや必要な投資が確保されるだろう」と、5GAAのCTOであるMaxime Flament氏は語る。

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5GAA Releases New 2030 Roadmap for Advanced Driving Use Cases, Connectivity Technologies and Radio Spectrum Needs
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