ペプチド修飾グラフェン電界効果トランジスタを用いた、高感度匂いセンサ 東工大

東京工業大学は2023年2月2日、ペプチドの自己組織化膜を利用したグラフェン匂いセンサで、複数の匂い分子を高感度で検出することに成功したと発表した。多種多様な匂いに反応できる高感度センサの開発につながると期待される。研究成果は2022年12月23日、「Biosensors and Bioelectronics」オンライン版に掲載された。

同大学物質理工学院の研究グループは、高い感度から匂いセンサとしての応用が注目されているグラフェン電界効果トランジスタ(GFET)を用いたセンシングの実用化を図るため、グラフェン表面の分子感応膜の開発に取り組んだ。

今回の研究では、グラフェンを機能化するペプチドとして、1種類の分子足場ペプチドと、2種類のプローブペプチド(P1、P2)の合計3種類のペプチドを設計。これらのペプチドを用いて匂い分子と特異的に相互作用する感応膜をグラフェン上に構築した。

こうして作成したGFETで、植物の香りを特徴づけるリモネン、サリチル酸メチル、メントールの3種類の匂い分子の検出を試みたところ、電気伝導度の時間変化から、それぞれのGFETが匂い分子に対して特異的な応答を示すことを確認。さらに、主成分分析によってそれぞれの匂いの判別に成功した。

これまで生物の嗅覚受容体タンパク質を使用した高感度のグラフェン匂いセンサが開発されているが、タンパク質を使用した場合、センサを安価で安定動作させることが難しいという課題があった。

ペプチドは天然のタンパク質と比較して、アミノ酸配列が圧倒的に短く、取り扱いが容易なことから、匂いセンサの実用化への貢献が期待される。さらにペプチドは設計性が高く、化学合成も可能で、多種多様な匂い分子に対する感応膜を開発できる。研究グループでは、ペプチドの利用によって新たな匂いセンサが実現すれば、ヘルスケアや環境モニタリング、食品、化粧品などさまざまな分野での活用を見込めるとしている。

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ペプチド修飾グラフェン電界効果トランジスタを用いた 匂い分子の高感度センシング グラフェン匂いセンサの実用化に大きな弾み | 東工大ニュース | 東京工業大学

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