- 2020-12-21
- 制御・IT系, 技術ニュース
- FaSTAR, PUPA8801, ヤマトホールディングス, 宇宙航空研究開発機構(JAXA), 物流eVTOL, 空力形状
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2020年12月18日、ヤマトホールディングスと共同で、空の領域を効果的に活用した新たな物流サービスに向けて、物流電動垂直離着陸機(物流eVTOL)への装着と地上輸送手段への搭載の両方が可能な大型貨物ユニット「PUPA(ピューパ)8801」の空力形状を開発したと発表した。
PUPA8801は、航空/陸上輸送間の切り替えを合理化し、荷役作業等の物流フロー全体の時間と作業の最適化を達成するため、航空輸送と陸上輸送それぞれの要求を同時に満たす空力形状が求められる。具体的には、航空輸送では物流電動垂直離着陸機としての高い空力特性が、陸上輸送では標準パレットなどの既存の陸送ユニットと共存する直方体に近い形状が必要だ。
これまで、ヤマトホールディングスでは、自社の培ってきた陸上輸送などの物流ノウハウや、物流電動垂直離着陸システムに関する自社の研究/開発の成果から導出した条件に基づき、貨物ユニットのコンセプトモデルを企画してきた。JAXAはこのコンセプトモデルに対し、世界最速レベルの流体解析ツールと言われるFaSTAR(ファスター)をはじめとする数値シミュレーション技術を用いて解析を実施し、航空技術の知見に基づいた検証と形状改善提案を行った。
今回の共同開発では、JAXAとヤマトホールディングスは従来の航空機の開発スキームにとらわれず、仮説構築と検証を迅速に繰り返し、他の流体解析ツールに比べて数倍~10倍程度高速なFaSTARを用いることで約4カ月という短期間で空陸両用のニーズを同時に満たす貨物ユニットの空力形状を開発し、成立性を実証した。
ヤマトホールディングスは、新たな空の輸送モードの構築に向け、具体的なサービス性検証を含むシステム開発を続け、2020年代前半までのサービス導入を目指すとしている。