ガスを吸って形状を記憶する柔らかい多孔質結晶を開発――新素材への応用に期待 京大

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結晶内の細孔は、CO2が抜けた後も開いたまま維持されるが、熱により閉じることができる。

京都大学は2018年5月2日、同大学の研究グループが、アイルランドおよび米国の研究グループと共同で、二酸化炭素や一酸化炭素を吸収して形を変え、さらにその形状を記憶する柔らかい多孔質結晶の開発に成功したと発表した。さまざまな気体の効率的な貯蔵や分離を可能にする新素材につながる成果だとしている。

一度覚えた形状を保ち続ける形状記憶材料は、メガネのフレームや医療材料などの用途で広く利用されている。このような性質を持つ材料は一般的には金属の合金などが知られている。今回の研究では、ガス分子を吸着して形状記憶現象を示すという新たな多孔質結晶の合成に成功し、その記憶メカニズムを初めて明らかにした。

今回開発した多孔質結晶は、有機分子と金属イオンが結合し、ジャングルジム状に組み上がったネットワーク構造になっており、内部に無数のナノサイズの細孔がある。ガスを吸着する前はジャングルジムが歪んで細孔が閉じているが、二酸化炭素などのガス分子を吸収することでジャングルジム構造が変形し、細孔が開いた構造になる。ガスを抜くと通常は再び閉じた構造に戻るが、この結晶は二酸化炭素を排出しても細孔が開いた状態を保つ。つまり、一度ガスを吸うと、その状態での形状が記憶される。

さらに、120℃以上まで加熱することで元の閉じた構造に戻すことができる。この性質を利用すれば、ガスを吸わせたい時には開けておき、吸わせたくない時には閉めておくなど細孔の制御が容易になり、より複雑なガス分離プロセスを可能にすると考えられる。

今回、形状記憶結晶のメカニズムが明らかになったことは、同様の性質を持つさまざまな素材の開発につながる。二酸化炭素など、さまざまなガスの貯蔵や分離といった課題を解決する新素材への応用が期待される。

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