カシューナッツの殻から無色透明なフレキシブル材料を開発――人体や環境に有害な化合物を使わず、室温でフィルムや樹脂などに形成可能 東京農工大

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東京農工大学は2019年8月20日、非可食でほぼ廃棄処分されるカシューナッツの殻から得られる天然植物油(カシューオイル)から、材料形成時にホルムアルデヒドや重金属触媒などの環境や人体に有害な化合物を使用しないバイオベースポリマーを開発したと発表した。さらに、従来は困難だった、無色透明化と経時的な物性変化の抑制にも成功したという。

今回の研究は、東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門の兼橋真二助教と大学院生物システム応用科学府の荻野賢司教授、工学研究院応用化学部門の下村武史教授によるものだ。

近年、持続可能社会の実現に向けた低炭素社会、バイオマスとの共存が求められている。特に、有限な化石資源に依存しないカーボンニュートラルかつ再生可能な非可食バイオマスの有効利用に期待が寄せられている。

今回研究グループは、カシューナッツ産業から発生する非可食・廃棄バイオマスのナッツ殻から得られるカシューオイルに着目。アリル化、チオール・エン反応を利用した光重合によるバイオベースポリマーを開発した。このポリマーは、350℃付近まで熱的に安定であり、柔軟性に富む。また、室温にて塗料またはフィルムやシート、樹脂への形成が可能だ。

従来のカシュー製品は、原料の特性(着色)により無色透明化が難しかった。また、経時による物性変化が大きいという課題もあった。しかし、今回の研究では、光学的に無色透明な材料の形成に成功している。さらに、経時変化を大幅に抑制できることも分かった。

これらの特性は、カシューオイル製品の可能性を大幅に拡げる可能性を秘める。そのため、この研究は未利用廃棄バイオマス由来の材料として、幅広い材料分野への応用展開が期待できる。

この研究は、カシューナッツ殻発生国のベトナムやインドなど新興国への科学技術・経済支援にも貢献できる可能性があるという。東京農工大学は今後、これまでの一連の研究成果を活かし、未利用バイオマスを豊富に有する新興国との間で、未利用バイオマスの高度有効利用に関する国際共同研究コンソーシアムの形成に注力していくという。

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