水素エンジン運転試験で水素を100%とした安定燃焼へ――脱炭素に一歩前進 MHIET

三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)は2021年1月21日、産業技術総合研究所(産総研)との共同研究により、純水素を燃料とした水素エンジンの運転試験を実施したと発表した。CO2を排出せずクリーンな水素を100%として安定燃焼できる条件を見出したという。

MHIETと三菱重工業の総合研究所は、水素エンジンの設計と製作、燃焼条件の検討や試験データの評価と分析を実施。産総研は、水素エンジンの水素供給設備と試験ベンチの構築・装置運転によるデータ取得を担当した。運転試験は、産総研の福島再生可能エネルギー研究所に、MHIET製の4ストロークレシプロガスエンジン「GS6R2~GS16R2」シリーズ(ピストン径170mm×ストローク220mm)を改良した単気筒エンジンを設置して実施したという。

水素は可燃範囲が広く燃焼速度が大きいという特徴を持ち、異常燃焼が発生しやすいという課題がある。そのため、試験では、希薄燃焼ガスエンジンGSRシリーズを基本に、水素の燃焼特性に合わせて水素燃料供給方法、着火方法、給気弁閉じ時期、空気過剰率などを見直し、水素専焼/予混合方式での安定燃焼条件を明確にした。

今回は、6気筒換算で340kW、16気筒換算で920kWまでの試験運転に成功。今後、この結果を多気筒エンジンの開発につなげ、2030年代の水素利用に向けて1MW(1000kW)級水素エンジンの実用化を目指す。

MHIETは将来的に、トリプルハイブリッド自立給電システムの発電設備「EBLOX(イブロックス)」に使用しているガスエンジン発電機を水素エンジンに変更することで、CO2の排出のない自立給電システムを完成させた分散型エネルギーソリューションを提供し、脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給に貢献していくとしている。

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