単露光方式でダイナミックレンジが従来比8倍のCMOSイメージセンサーを商品化――セキュリティカメラ用途のAI画像処理に最適化 ソニー

ソニーは2021年6月29日、単露光方式で同社従来品と比較して約8倍のダイナミックレンジを有するセキュリティカメラ向けの1/1.2型4K解像度CMOSイメージセンサー「IMX585」を商品化すると発表した。同年7月よりサンプル出荷を開始する予定で、サンプル価格は4400円(税込)となっている。

一般的にHDR(ハイダイナミックレンジ)を実現するにあたっては、異なる露光時間で撮影した複数の写真を合成する多重露光方式で撮影する必要がある。同方式では、動体撮影時にAI(人工知能)の誤認識の要因となるアーティファクト(動く被写体を撮影する際のノイズ)が生じることが課題となっていた。

IMX585は、同社独自のプロセス技術を用いて画素サイズの制約下でも受光部の面積を広く取り、広ダイナミックレンジを実現するセキュリティカメラ向け技術「STARVIS 2」を採用した。撮影時のアーティファクトを抑える単露光方式において、ダイナミックレンジが同社従来品「IMX485」と比較して約8倍となる88dBに達している。また、多重露光方式では106dBとなった。

加えて、受光部の光の入射面に凹凸を形成して入射光を回折させることで、非可視光である近赤外光の吸収率を向上させる同社独自のデバイス構造を採用しており、近赤外領域における感度が同社従来品と比較して約1.7倍となった。夜間などで用いられる近赤外撮影でも、高画質な撮影が可能となっている。

有効画素数は約841万画素で、ユニットセルサイズが2.9×2.9μm、フレームレートが10ビットで90フレーム/秒、12ビットで60フレーム/秒、感度(標準値F5.6)が7900Digit、電源電圧はアナログが3.3V、デジタルが1.1V、インターフェースが1.8Vとなっている。パッケージは20.0×16.8mmのセラミックLGAを採用した。

なお同社は、同じく単露光方式で88dBのダイナミックレンジを有する1/3型2K解像度イメージセンサー「IMX662」に関しても、2021年中のサンプル出荷を予定している。

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