水を飲むだけでピタリと止まる――しゃっくりを簡単に止められるストローを開発

急に出てくるしゃっくりは、なかなか止まらなくて不快なだけでなく、QOL(生活の質)に影響を与えることもある。しゃっくりを止めるために、息を止める、箸をコップに十字に置いて4カ所から水を飲む、など民間療法は多いが、その効果のほどはよく分かっていない。

テキサス大学サンアントニオ校ヘルスサイエンスセンターは、利用者の神経系に働きかけ、92%の確率でしゃっくりを止められる特殊なストロー「FISST(Forced Inspiratory Suction and Swallow Tool、強制的な吸気吸引および嚥下ツール)」を開発した。研究結果は、2021年6月18日付けの『JAMA Network Open』に掲載されている。

FISSTは、先の曲がったストローで、底に圧力弁があるのがポイントだ。コップの水を飲む時に普通のストローよりも吸い込む力がいるが、力強く水を吸い上げ、飲み込むという一連の動作で、横隔神経と迷走神経を同時に刺激しようというアイデアだ。

まず、強く吸い込むことで、横隔膜が収縮し、横隔神経を刺激する。口に入った水を飲み込もうとすると、肺や気管に水が入らないよう喉頭蓋と呼ばれる蓋が動く。この時、迷走神経が刺激され、声帯への信号を遮断して、しゃっくりを和らげることができる。

仕組みは複雑にも聞こえるが、ユーザーはコップの水をFISSTで飲むだけで良い。素材はポリプロピレンで、ビスフェノールA(BPA)など有害物質を含まないため、子どもから大人まで安全に使用できる。

研究チームは、実際にFISSTを利用した人を対象に、使用後のアンケートを実施したところ、約92%の人はしゃっくりが止まったと報告した。また、使用後の感想を5段階で評価してもらった結果、90.8%が「民間療法より使いやすい/非常に使いやすい」と回答し、90.1%が「民間療法より満足/非常に満足」と回答した。有効回答数は249で、そのうち18歳以上が約70%、男女比はほぼ1:1、回答者の69%が月に1回は一時的にしゃっくりが起きると申告している。

しゃっくりは、日常で突発的に発生するだけでなく、脳卒中など脳神経に損傷を受けた場合や、手術時の麻酔、特定の化学療法の副作用でも現れることがあり、この発明は医療ケアにも利用できる。今後は、効果と有効性を確実にするために、ヨーロッパとアメリカで二重盲検臨床試験を行う予定だ。

なお、FISSTは既に特許を取得済みで、商品名「HiccAway」として、1つ14ドルでAmazonや一部スーパーで販売中だ。

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