大気中から年間100万トンのカーボンを固定するカーボン回収施設

地球温暖化対策として大気中の二酸化炭素を直接回収するDAC(Direct Air Capture)技術の研究開発が進む中、イギリスでは大規模なDAC施設の建設が計画されている。

イギリスのCarbon EngineeringがStoreggaと共同でスコットランド北東部に建設を計画しているDAC施設は、大気中の二酸化炭素を年間50万~100万トン回収することを目指している。

2026年の稼働を目標とするこの大規模DAC施設は、工業用冷却塔をモデルにした大きな構造物のエアコンタクター(air contactor)に大型のファンで空気を引き込み、空気中の二酸化炭素を水酸化カリウム溶液と結合させて回収する。二酸化炭素を吸収し生成された炭酸カリウム溶液は、ペレット反応炉(pellet reactor)で水酸化カリウムと炭酸カルシウムペレットとに分けられる。水酸化カリウムはエアーコンタクターにリサイクルされ、炭酸カルシウムペレットは煆焼炉(かしょうろ:calciner)で加熱されて二酸化炭素が分離される。分離された二酸化炭素は不純物が取り除かれ、海底に設けられた貯蔵設備にポンプで送られる。このDACプロセスにより、大気中の二酸化炭素の4分の3が除去できるという。

Carbon EngineeringのCEO、Steve Oldham氏は、「我々の最初の100万トン級DAC施設が、アメリカで計画中だ。今回Storeggaと共同し、ヨーロッパで最初の大規模な施設をイギリスで開発することを大変嬉しく思う。これらの施設は、大規模DAC技術が実現、入手、利用可能で、世界の(二酸化炭素の)排出量を実質ゼロ、最終的には実質マイナスにまで下げるのに役立つことを実証するものだ」と、述べている。

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Engineering begins on UK’s first large-scale facility that captures carbon dioxide out of the atmosphere

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