コンピューターサーバー電力消費を大幅に削減する新アルゴリズム――気候変動への影響を軽減

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世界中のコンピューターサーバーの資源消費量を大幅に削減できる洗練された新アルゴリズムが開発された。デンマークのコペンハーゲン大学によるもので、研究詳細は2021年6月21日〜25日にオンライン開催された「ACM Symposium on Theory of Computing(STOC 2021)」で発表された。

インターネット使用が増加の一途をたどっている裏側で、コンピューターサーバーによる大量の電力消費が気候に与える影響が問題となっている。現在、世界中のデータセンターは、世界の温室効果ガス総排出量のうち約2%を排出しており、これは世界中の航空輸送による排出量の合計に匹敵する。また、2025年までにデータセンターの電力消費は2倍になると予想されており、ITのグリーン化は喫緊の課題だ。

同大学のMikkel Thorup教授は、数年前にコンピューターサーバーのワークフローを効率化する革新的な方法を編み出して、この問題に一部対処するアルゴリズムを開発した研究グループの一員だ。この研究はエネルギーと資源を節約するもので、GoogleやVimeoなどの大手テクノロジー企業は、このアルゴリズムを自社システムに積極的に導入した。オンライン動画配信プラットフォームのVimeoは、このアルゴリズムによって同社の帯域幅使用量が大幅に減少したと報告している。

今回、Thorup教授らは、この既存のアルゴリズムを完全なものにした。コンピューターシステムではいくつかのサーバーが過負荷状態になる一方で、他のサーバーには余力があるという状態になる根本的な問題があるが、新しいアルゴリズムにより現在よりも何倍も速くその問題に対処できるようになった。

VimeoやNetflixで動画や映画を見ようとするユーザーが殺到した場合、オンラインでサービスを利用しようとするコンピューター、すなわちクライアントからのリクエストがサーバーの処理能力を超えてしまい過負荷状態になるという問題が起きる。その結果、システムは、サーバー間でバランスよく分散させるために、クライアントを何度もシフト処理する必要がある。

コンピューターシステムには最大で10億台のサーバーが存在することもあるため、このようなバランスを取るために必要な数学的計算は並外れて難しい。また、クライアントやサーバーが接続したり切断したりするため、常に状態が変化している。これが輻輳やサーバー障害の原因となり、また、気候変動全般に影響を与える資源消費にもつながる。そのため、サーバー数に依存しない拡張可能なソリューションが必要だ。

今回開発されたアルゴリズムはそのようなソリューションを提供するもので、クライアントのサーバー間シフト処理をできるだけ少なくし、コンテンツをできるだけローカルに取得することで、クライアントをサーバー間でできるだけ均等に分散させるようにしている。

例えば、クライアントをサーバー間で確実に均等に分散させ、どのサーバーも他のサーバーと比較して負荷が10%超とならないようにするために、従来のアルゴリズムでは、更新1回につきクライアントを100回シフト処理していた。しかし、新しいアルゴリズムではシステム内に数十億台のクライアントとサーバーが存在する場合でも、シフト処理10回で済むようになった。

このアルゴリズムは、誰でも無料で使用できる。Thorup教授は、以前のアルゴリズムを多くの大手IT企業が既に導入していることから、今回の新しいアルゴリズムを業界はすぐに導入するだろうし、あるいはもう使われているかもしれないとしている。

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