NTNは2021年10月20日、電食を防止する絶縁軸受メガオームシリーズに、鉄道車両車軸用軸受「セラミック絶縁軸受(複列円すいころ軸受)」を新たに追加した。需要の増加が予想される鉄道車両用軸受の電食防止ニーズに対応し、車両のメンテナンスコストの低減に貢献する。
モーターや発電機などに用いられる軸受には、漏れ電流による電食(スパークが生じた部位が局所的に高温になり、金属組織が溶融する現象)が発生することがあり、軸受の寿命を縮める原因となっている。
絶縁軸受メガオームシリーズは、外輪の外径から幅面に設けたセラミック、またはレジン(樹脂)の絶縁層により、軸受内部への電流の通過を妨げて電食を防止する商品で、100MΩ以上(DC500V)の絶縁性能を有する。絶縁層の材質や仕様など多くのバリエーションの中から、耐電圧、耐衝撃性など用途に応じた最適な商品を選択できる。
鉄道車両の車軸用に使用される複列円すいころ軸受は、主電動機用に使用される深溝玉軸受や円筒ころ軸受よりも外輪外径面積が大きく、絶縁対策を施す際に、硬く加工が困難とされるセラミック層を均一かつ広範囲に形成することが課題となっていた。そこでセラミック絶縁軸受(複列円すいころ軸受)には、メガオームシリーズの開発/製造で培ったセラミック層の溶射、研磨技術を活用し、製造に成功したという。
開発品は、車軸軸受特有の走行による振動や衝撃が伴う使用条件に対応しており、すでに一部のユーザーに納入を開始している。同社は開発品を含むメガオームシリーズをグローバルに提案し、電食に起因する鉄道車両のメンテナンスコストを低減する。