IoT/ウェアラブル機器向け高精度GNSS受信LSIを商品化――デュアルバンドによる測位と業界最小の消費電力を実現 ソニー

GNSS受信LSI<左:CXD5610GF(XFBGA-54Pinパッケージ)、右:CXD5610GG(LFBGA-72Pinパッケージ)>

ソニーは2020年8月19日、IoT(モノのインターネット)、ウェアラブル機器向け高精度GNSS(全地球衛星測位システム)受信LSI「CXD5610GF」と「CXD5610GG」のサンプル出荷を2020年9月より開始すると発表した。消費電力がデュアルバンド測位で業界最小となる9mW(CXD5610GFの場合)となっている。サンプル価格は1000円(税抜)。

両製品は、従来のL1帯に加え、衛星の環境が整備されつつあるL5帯信号受信にも対応するため、デュアルバンドで測位できる。L5帯での新方式信号では、GNSS衛星と受信機の距離測定に使用する信号の単位がL1帯に比べ10倍細かくなることで位置精度が向上し、衛星からの送信電力も増加するため、高精度で高感度な測位ができるという。

L5帯における新方式信号による位置誤差改善

ウェアラブル機器特有の厳しい環境下や移動により建物の遮蔽などで受信環境が変わる状況でも、独自の測位アルゴリズムによって迅速かつ正確にGNSS信号を受信でき、これまでよりも高精度で安定的な測位ができる。再起動にかかる時間が長いコールドスタート時でも、より短時間での測位に繋がる。また、独自のデジタル信号処理技術によって、航空機用無線などの妨害波による性能劣化やなりすまし攻撃などへの対策を施し、耐性性能が向上する。

さらに、低電圧で動作する独自開発の高周波アナログ回路技術、低クロック周波数でソフトウェアを処理できるデジタル回路とソフトウェアアルゴリズムを採用。低消費電力と高感度を両立し、L1帯とL5帯での同時受信時に、連続測位時電力を業界最小の9mWに抑えられるという。

従来品は、衛星システムの測位信号L5(GPS)、E5a(Galileo)、B1C(BeiDou)、B2a(BeiDou)、L5(QZSS)、L5(NavIC)に未対応だったが、CXD5610GFとCXD5610GGはすべてに対応。また、ファームウェアなどを格納するための不揮発性メモリーを内蔵しており、外付けメモリーを追加せずに最新ファームウェアへアップデートでき、省スペース化によるIoT、ウェアラブル機器の小型化に貢献する。データ処理は製品内で完結するため、低消費電力化やアクセス速度の向上に繋がる。

電源を外部から供給できないスマートウォッチなどのウェアラブル機器や、トラッカー用途などのIoT機器の新商品やサービス開発機会の拡大に貢献する他、自動車向けサービスなどの幅広い用途での活用も期待できる。

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