街路樹が街灯になる――MITが植物を発光させる技術を開発

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Image: Seon-Yeong Kwak

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、ナノバイオニクスの手法を用いて発光する植物を開発した。葉に特殊なナノ粒子を埋め込んだクレソンは、4時間にわたり光を放ち続けた。この実験で発したのは弱い光だが、最適化が進めば作業空間を照らすのに十分な明るさとなり、デスクライトの代わりになるかもしれない。

植物のナノバイオニクスは、MITの研究チームが開拓した新しい分野で、植物にさまざまなナノ粒子を埋め込むことで新機能を付与するものだ。チームは、現在電子機器が担っている多くの機能を植物が代替することを目的としている。

開発した発光植物は、ホタルの発光のもととなる酵素ルシフェラーゼを活用している。ルシフェラーゼは、ルシフェリンという物質に反応して発光させる。また補酵素であるコエンザイムAは、ルシフェラーゼの活性を阻害する反応副産物の除去に役立つ。

ルシフェラーゼ、ルシフェリン、コエンザイムAは、それぞれシリカナノ粒子、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、キトサン粒子を利用して、葉に取り込ませることにした。植物の葉をナノ粒子懸濁液に浸しつつ高圧をかけることで、葉の気孔からナノ粒子を取り込むことに成功した。

ルシフェリンとコエンザイムAを放出する粒子は、葉の表皮の内側にある葉肉の細胞外空間に蓄積し、ルシフェラーゼを付加したナノ粒子は葉肉の細胞に取り込まれる。PLGA分子から徐々に放出されて細胞内に移動したルシフェリンが、ルシフェラーゼと反応して発光する仕組みだ。

当初は、45分間程度しか発光時間は持続しなかったが、3.5時間まで改善したという。この研究で10cmのクレソン1株が発する光は、文字を読むのに必要な光量の約1000分の1だが、成分の濃度や放出速度を最適化することで、発光量や発光時間を改善できると考えられている。

発光植物の作製には、遺伝子組み替えにより植物内でルシフェラーゼ遺伝子を発現する手法があるが、手間が非常にかかる上にごく弱い光しか得られない。また、遺伝子組み替えによく用いられる一部の植物のみに適用できたが、ナノバイオニクスを用いた今回の手法は、どのような植物にも応用できる。

研究チームは、将来的に植物の葉にナノ粒子を塗布したり吹き付けたりして、樹木など大きな植物へも応用したいと考えている。この技術によって、街路樹が街灯の役割をする日が来るかもしれない。

関連リンク

Engineers create plants that glow
A Nanobionic Light-Emitting Plant

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