金属並みの低温900℃以下で酸化物系固体電解質を焼結――燃料電池や全固体電池の高速作製に期待 東北大学

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低温で粒成長した酸化セリウム

東北大学は2021年12月8日、同大学大学院工学研究科の研究グループが代表的な固体電解質である酸化セリウムを金属並みの低温である900℃以下で焼結する条件と、そのメカニズムを解明したと発表した。脱炭素技術として重要な燃料電池や水素製造セル、全固体電池の高速作製が期待される。

自在な形状で高速に燃料電池や全固体電池を作製するために、3Dプリンティングとレーザー焼結法を組み合わせた付加製造技術が注目されている。しかし、従来の方法でこれらの電池に必須の酸化物系固体電解質を焼結するためには、1500℃程度の高温と長時間の処理が必要になるため、付加製造が困難だった。

代表的な固体電解質である酸化セリウムでは、焼結温度の低温化に微量のリチウム添加が有効だと知られているが、研究グループ毎に得られる効果や結論が異なることから、酸化セリウムの低温焼結が可能になる条件やメカニズムは不明だった。

研究グループでは、リチウムを微量添加して低温焼結した酸化セリウムの組成と微細組織を精密に分析。リチウム添加酸化セリウムにシリコンとアルミニウムが含まれ、酸化セリウム粒子の結晶粒界にリチウム、シリコン、アルミニウムが存在していることがわかった。

熱力学シミュレーションを実施したところ、このリチウム-シリコン-アルミニウム(Li-Si-Al)系酸化物の融点が金属並みの855℃と低いことがわかり、酸化セリウムの低温焼結メカニズムに、この低融点の酸化物融液の出現が重要な役割を果たしていることが明らかになった。

セリウム系酸化物の焼結を促進するリチウム–シリコン–アルミニウム酸化物融体

これまで研究グループ毎に、リチウム添加の最適量や効果が異なって観測されていたが、これは酸化セリウムの熱処理過程で、酸化アルミニウムを多量に含む耐火物容器から意図せず導入されるアルミニウムの量が異なっていたためだと考えられる。

今回の研究により、セラミックス系固体電解質の焼結が金属並みの低温でできる。この知見を活用することで、3Dプリンティングなどの付加製造による燃料電池、水素製造セルや全固体電池の高速作製が期待される。さらに、リチウム-シリコン-アルミニウム系酸化物融体は、今回対象とした酸化セリウム以外の焼結困難な酸化物の低温焼結にも広く応用できることが期待される。

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