中国の研究チーム、牛の挙動から発電した電力で駆動する「スマート牧場」を目指す

CREDIT: KONG ET AL. - ISCIENCE

牛などの家畜にIoT(Internet of Things)デバイスを装着する「スマート牧場」に関する研究論文が、2022年12月1日付の学術誌「iScience」に掲載された。著者らは中国の西南交通大学のチームで、牛の運動エネルギーから電力を取り出し、スマート牧場を構成する各種デバイスに給電するしくみを提案している。

このスマート牧場の目標は、IoTデバイスを使用してサプライチェーン全体にわたる追跡システムを構築し、食の安全性を確立することにある。この論文の主旨は、そのIoTデバイス類を駆動する自己発電システム「Near Zero Energy System」の試作成果だ。

具体的には、発電デバイス「Kinetic Energy Harvester(KEH)」を牛の脚に装着し、磁石と振り子の原理によって、運動エネルギーから電力を取り出す。なお、事前に人間の脚にKEHを試着して階段を昇降したところ、LEDを点灯させる電力が得られた。

KEHで得られた電力は、エネルギー貯蔵ユニットに蓄電する。その電力をウェアラブルセンサー(GPS、パルストランスデューサ、3軸加速度センサー、赤外線温度センサーなど)に給電し、家畜の健康状態や位置情報をモニタリングする。

同研究チームのZutao Zhang氏は、「5G通信技術とIoT技術の発展により、フードシステムやサプライチェーンがより高度になり、高い透明性を持つだろう」と述べている。

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