カップ積層型カーボンナノチューブを分散した導電シリコーンゴムを開発 朝日ラバーとGSIクレオス

朝日ラバーは2022年1月21日、GSIクレオスと共同で、カップ積層型カーボンナノチューブ(CSCNT)を分散したシリコーンゴムを開発したと発表した。開発したCNT充填シリコーンゴム複合材料は高い導電性と最適硬度を両立しており、自動車向け部材として採用された。

本来、環境対応性能が高いシリコーンゴムは、高結晶で強靭なカーボンナノチューブ(CNT)と親和性が良いとされていたが、CNTの難分散性により製品化されていなかった。

今回、朝日ラバーのシリコーンゴムに、GSIクレオスの独自開発品であるカップ積層型カーボンナノチューブを最適に分散させることで導電性を付与した上で、用途に応じた硬度のオーダーメード化に成功。これにより、氷点下から高温、多湿、乾燥など、様々な過酷環境にさらされる自動車部材へ適用できる。

これまでの導電フィラー(充填剤)では、十分な導電性が得られないことに加え、過剰な硬化、固化といった致命的な課題があったが、開発品はこれらの課題を解決し、優れた特長を得ている。体積抵抗率は、これまでの導電添加剤では得られなかった0.4〜0.5Ω•cm。硬度(Duro A)70〜90の領域で、用途に応じて調整できる。また、耐熱性に優れており、高温下でも体積変化率が少ない。

開発したCSCNT導電シリコーンゴムは、電子部品の接点として適用できる導電領域を達成している。今回、導電フィラーとしてCSCNTを用いているが、このCSCNTは高い結晶性を有した優れたカーボンフィラーとなる。この高結晶性フィラーの充填により、シリコーンゴムの電気特性を向上。さらに、硬度、柔軟性の最適調整を含む機械的特性、耐熱性、耐久性の向上、低比重(軽量)などが期待できる。

これらの特性により、シリコーンゴム部品を超長寿命化し、地球環境への負荷を軽減する。また、柔軟性の最適化により、高機能を保ったまま人体適用時の接触感を改善できる。

実証試験の結果、CSCNT導電シリコーンゴムは、屋内外の過酷な環境でも適用できる自動車向け部材として採用。今春から、納入が同関連業界向けに開始される。両社は今後も、同導電シリコーンゴムのマーケティングを共同で実施。自動車や航空機等向けセンサーやケーブル、ウェアラブルデバイスの電極パッドなどへの用途展開を進めていく。

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