天然深共晶溶媒を用いて、木と石から100%天然バイオマス系生分解性プラスチックを開発 GSアライアンス

GSアライアンスは2022年2月2日、天然深共晶溶媒を用いて、木と石そのものから作った100%天然バイオマス系生分解性プラスチックを開発したと発表した。木や植物の成分を深共晶溶媒で膨潤、微分散、溶解し、加工して、熱可塑性材料化している。

熱をかけることで溶かし、溶解した状態で成形機にかけ、成形して製品となるプラスチックは、厳密には熱可塑性樹脂と呼ばれ、成形機で成形する前は、粒状の状態で、樹脂ペレットと呼ばれている。

国内外の企業で実用化され始めている生分解性プラスチックは、石油から作られるか、トウモロコシ、サトウキビなどのバイオマスからも作られるが、人間の食糧と拮抗することが問題になっている。人間の食糧と拮抗しない理想のバイオマスにはセルロースがあるが、石油由来の添加剤などを一切使用せずにセルロースを熱可塑性樹脂化することが難しいなどの課題もある。

そこで同社は、開発している深共晶溶媒の中でも特に100%天然組成の天然深共晶溶媒を用いて、木そのものから熱可塑性材料を開発した。木や植物は、主にセルロース、リグニン、ヘミセルロースの3成分から構成されているが、これらの成分を深共晶溶媒で膨潤、微分散、溶解し、加工して熱可塑性材料化している。

同様の方法を用いることで、原料として、木を含めたあらゆる地球上の植物、廃木材、廃植物、海藻、廃紙、パルプなどの天然有機資源を使用できる。

木材を深共晶溶媒で処理し、タルクなどの石由来の材料と複合化して二軸押出機で加工し、熱可塑性樹脂状のペレットにして成形できることまで確かめ、熱可塑性樹脂として開発したのは世界初となり、これは本当の意味での実用化となる。これまで海外の大学で、深共晶溶媒を用いて木から樹脂のようなものを作る研究が報告されていたが、押出機で成形できる熱可塑性のものまではできていなかった。

木や石以外の天然深共晶溶媒を含めた他の成分も、環境に優しく、既に人間社会にありふれている成分を原料として使用。全体で石油由来の材料を一切使用していないため、100%天然成分からできた材料となる。木や石だけでなく、他の構成材料も全て比較的安価で、大量生産時のコスト安も期待できる。

材料単独では水、機械的強度に少し弱いなどの課題があるが、他の天然バイオマス系生分解性樹脂と複合化することで100%天然バイオマス成分を維持しながら、耐水性、機械的強度が向上することも確認している。同社は今後、この新規材料の分析、樹脂特性のさらなる向上を目指すと同時に、国内外へのサンプルワークを進めていく。

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