- 2023-10-26
- 化学・素材系, 製品ニュース
- 3Dプリンター, ハイエントロピー合金粉末, マイクロオーダー, ロッド成形, 合金, 合金粉末, 田中貴金属工業, 貴金属, 貴金属元素, 貴金属合金粉末, 金属材料
田中貴金属工業は2023年10月25日、10μm以下の微細な粒径と高い結晶性を兼ね備え、組成の均一性に優れた貴金属のみで構成された、世界初となる「ハイエントロピー合金粉末」を開発したと発表した。量産工程を確立しており、ハイエントロピー合金粉末のサンプル提供開始を10月から予定している。
ハイエントロピー合金は、5種以上の元素が同程度含まれる合金で、過半を占める主要元素が存在しないことが特徴で、新しいカテゴリーの金属材料として注目されている。
同社が開発した世界初のハイエントロピー合金粉末は、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)の5種の貴金属のみで構成される。このハイエントロピー合金粉末にも用いた、5種以上の貴金属合金粉末自体とその製造方法を確立させ、基本特許を2023年6月に取得した(特許第7300565号)。
貴金属合金粉末は、耐食性、導電性等をはじめとする、貴金属の特性を維持した5種以上の貴金属元素のみからなる合金かつ、工業的に使用しやすいマイクロオーダーの合金粉末を用いている。従来のナノオーダーの貴金属ハイエントロピー合金とは異なっており、結晶子サイズが大きく、合金として安定している。
合金本来の要求特性である機械的強度の改善、耐食性の向上、熱膨張率の制御などを満たすことに加え、貴金属合金の機能、特性の改善への寄与が期待される。
製品は、粉末状の貴金属合金で、3Dプリンターでの造形、ロッド成形(粉末を固めて棒状にした素材を成形すること)に加え、ペースト状での活用にも対応。高強度化、高耐熱性を生かした触媒や高い耐久性を必要とする導電膜などへの活用も見込んでいる。