電源ICの応答性能を向上させ、設計工数を削減する高速負荷応答技術を開発 ローム

  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ロームは2022年2月3日、各種電源ICの負荷応答特性(以降、応答性能)を向上させる新しい電源技術「QuiCur(クイッカー)」を確立したと発表した。電源ICにQuiCurを搭載すれば、電源ICの帰還回路で不安定にならない極限までの応答性能を得られる。

電源ICは、安定した電源機能を得るために常に出力電圧を監視し、IC内部の基準電圧と比較して出力電圧を微調整する回路(以降、帰還回路)を搭載している。

この帰還回路は、より素早く応答することにより、短い時間で、入力電圧や負荷電流などの変動に伴って発生する出力電圧の変化を元に戻せるが、あまりに早く応答させようとすると、回路動作が不安定になり出力電圧が発振する。さらに応答速度は、出力コンデンサの静電容量(以降、出力コンデンサ容量)にも影響を受けるため、狙い通りの応答性能を得ることが難しかった。

仕様変更時の設計工数を削減するため、電源回路は応答性能に優れ、期待する安定動作を実現できる高品質の電源ICが求められるようになっていることから、同社は電源ICの応答性能を極限まで追求できる高速負荷応答技術であるQuiCurを開発。電源ICにQuiCurを搭載することにより、電源ICの帰還回路で不安定にならない極限までの応答性能を狙い通りに得られる。

QuiCurは、負荷電流に対する出力電圧の変動に素早く応答でき、電源ICに必要な出力コンデンサ容量を低減する。同社の従来技術と比較して、半分以下のコンデンサ容量で同等の応答性能を得られるため、部品点数や基板実装面積を削減できる。

出力コンデンサ容量が大きくなると、出力電圧が安定する代わりに瞬時の応答性能(反応するまでの時間)が悪化するが、QuiCurは出力コンデンサ容量が大きくなっても瞬時の応答性能が変化せず、出力コンデンサ容量と出力電圧変動の線形(定数が負の比例関係)な調整ができる。仕様変更でより安定動作が必要となった際(出力電圧変動をさらに低減したい場合)にも、期待する安定動作が簡単にできる。

QuiCurは、応答速度(制御系)と電圧安定度(補正系)の信号処理を高度に役割分担することで、従来電源ICの帰還回路が抱えていた2つの課題を解決している。

1つ目の課題「不安定領域より低い周波数の領域に使用不可領域が発生してしまう」に対しては帰還回路で使用不可領域が発生しない専用の誤差アンプ(増幅器)の用意、2つ目の「出力コンデンサ容量によってゼロクロス周波数(f0)が変化してしまう」という課題には2段目の専用誤差アンプを用意し、その増幅率(Gain)を電流駆動で調整できる技術の導入により解決している。

また、QuiCurは出力コンデンサ容量をμFオーダーまでしか減らせないが、超安定制御技術である「Nano Cap」と組み合わせることで、nFオーダーまで低減できる。

同社は、QuiCur技術を搭載した電源ICの製品化を進めており、2022年4月にDC/DCコンバータIC、2022年7月にリニアレギュレータのサンプル出荷の開始を予定している。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る