- 2016-4-5
- コンピューター・通信機器, 制御・IT系, 半導体・電子部品, 技術・スキル市場分析, 機械・プラント, 機械系, 転職・キャリアアップ, 電気・電子系
- FA, IoT, インダストリー4.0, スマートファクトリー, 商品開発, 新規事業開発
本コラムは、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント・河辺真典氏からの寄稿です。旬のキーワードを取り上げ、エンジニアのキャリア形成に役立つ情報を発信していきます。
IoT関連のエンジニアニーズについて取り上げるこの連載、1回目の記事では、ニュースなどでIoTへの注目は集まってきているがIoT関連のエンジニアを求める企業はそれほど増えてきていないこと、2回目の記事では、IoT関連の採用ニーズを本格化させるにはIoT“アプリケーション(具体的な用途)”を開発するエンジニアの活躍が必要になると述べてきました。
今回は、IoT“アプリ”エンジニアの現状について考えてみたいと思います。
IoT“アプリ”開発の業務を任されている人材は?
前回、一部で見え隠れしているIoT関連の採用ニーズの1つとして、産業機械を扱いFA(ファクトリーオートメーション)、インダストリー4.0、スマートファクトリーといった取り組みを推進するメーカーの一部が、「ネットワークに接続する新製品」を開発するエンジニアを多少採用していることを取り上げました。
今、IoT“アプリ”エンジニアとして、工場の生産性向上などにつながるシステムを企画・設計する役割を期待されているのは、こうした求人から採用される人たちでしょう。
その他にも、各メーカーで既に働いているエンジニアの中から、IoT“アプリ”エンジニアの業務を任されている人がいるはずです。
IoT“アプリ”開発業務に必要な能力は?
けれど、IoT“アプリ”エンジニアの仕事を分かりやすく言ってしまうと、「商品開発」や「新規事業開発」と言い換えることができそうです。
現在ある資産・技術を生かし、新しいビジネスやサービスのプランを考え、顧客が抱えているニーズを満たしていく。こうした業務を担当したい人材は、商社や広告代理店、ベンチャー企業などを希望することが多く、メーカー、特に国内メーカーには不足しているタイプの人材です。
冷蔵庫がインターネットにつながりました。冷蔵庫のドアが開け閉めされることで、高齢者の安否を確認できます――。そういった誰もが思いつきそうなアイデアではなく、はっきりと価値を感じられるビジネスやサービスのプランを描けること。IoT“アプリ”エンジニアにはそんな能力が必要なのです。
IoT“アプリ”開発者に求められる経験・実績は?
現在の応募・選考状況を見る限り、IoT“アプリ”エンジニアの候補になりそうなのは、1)経営企画室などに所属し、企業の中で新たなビジネスやサービスを立ち上げるため、取締役会で自らのプランをプレゼンして承認を得て、新規事業を立ち上げた経験がある、2)営業担当として顧客企業とコミュニケーションを取りながら新商品を開発したことがある、3)ゲームアプリの開発でもいいので、ゼロベースで自らの企画を商品化し、売上を増やした実績がある――といった条件に該当する人材でしょうか。
メーカーで働いていた経験は必須条件ではありません。「はっきりと価値を感じられるビジネスやサービスのプランを描ける」能力があれば、IoT“アプリ”エンジニアとして活躍できる可能性があります。
けれど、そうした可能性を秘めた人材は、メーカーにIoT関連でこれだけ活躍できる可能性があることを知らず、大半が商社や広告代理店、ベンチャー企業などに流れています。
彼/彼女らの1人が、「メーカーに転職してIoT“アプリ”を開発しよう」と思って、新たな市場を生み出すスーパースターになってくれるのでしょうか。それとも、大企業の生産管理部隊が、自社に蓄えてきた知見を生かして画期的なIoT“アプリ”システムを開発し、競合ではない他メーカーに提供していくことになるのでしょうか。
いずれにせよ、スマホが普及する前と同様に、今のIoT“アプリ”開発を取り巻く状況は、非常にチャレンジングでやりがいを感じられることは間違いありません。
河辺 真典(メイテックネクスト 執行役員)
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