昼も夜もカメラを欺く光学迷彩を生む「人工皮膚」を開発――タコの体色がヒント

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ソウル大学校の研究チームは、昼夜問わず監視カメラから身を隠せるカモフラージュ機能を有する「人工皮膚」を開発した。肌に貼り付ければ、昼間は周りの茂みの色に同化し、夜間は赤外線カメラを欺くことが可能で、将来の軍事作戦に影響を与える可能性がある。研究結果は、2020年7月14日付けの『Advanced Functional Materials』に掲載されている。

自然界には、餌に忍び寄ったり、逆に捕食者から逃げたりするために、体の色を変えて環境に溶け込む生物がいる。たとえば、タコやイカ、コウイカのような頭足類は、色素の入った色素胞や光を反射する虹色素胞を制御して、体色を変えている。

一方、人が身を隠そうとすると、迷彩色の服など限られた手段しかない。研究チームは、頭足類から着想を得て、熱電素子と熱変色性液晶を利用し、可視光から赤外線までのカモフラージュ機能を1つのデバイスに統合することに成功した。

研究チームが開発した人工皮膚は、電流の向きによって加熱と冷却を切り替えることで、表面温度だけでなく、赤から青までさまざまな色に変えることができる。条件によっては、約5秒で色を変えることもできた。また、大きさ6×6mmのピクセルをつなげているため、拡張性と解像度が高まり、複雑な背景にもマッチするような細かな表現が期待できる。柔軟性も持たせるために、厚みは2.5mmとした。

実験では、デバイスの各ピクセルを個別に制御し、背景の部分的な色や温度の変化を模倣できることを確認した。例えば、人工皮膚を貼り付けた手を動かすと、相対的な位置に基づいて各ピクセルが背景と同じ色や温度に変わり、可視でも赤外域でも人工皮膚の部分だけが穴が開いているかのように見える。また、人工皮膚を貼り付けた頬は、背景の茂みになじむような迷彩柄になり、赤外カメラではその部分だけ背景の温度と同じになった。

今回の概念実証は直接人間の皮膚を覆い、可視から赤外まで幅広い範囲の光を隠すことができるため、昼間だけでなく夜間にも利用できるステルスプラットフォームとして、次世代の軍事用ウェアラブルデバイスやカモフラージュガジェットの適応が期待される。デバイス自身が周囲の環境を検知したり、寒冷地や砂漠で利用するにはまだ課題が残っているが、将来、SFに登場する「透明マント」が実現できるかもしれない。

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Thermally Controlled, Active Imperceptible Artificial Skin in Visible‐to‐Infrared Range

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