東レは2023年2月1日、熱硬化性の炭素繊維複合材（CFRP）製の航空機部材を熱溶着によって高速で接合する技術を開発したと発表した。同社は米ボーイングとパートナーシップを組み、航空機製造などで技術開発プロジェクトを進めており、2030年以降の実用化に向けて実証を続ける。
同社によると、熱硬化性CFRPの表面に熱溶着層を形成する独自技術を応用した方法で、部材表面を瞬間的に加熱して接着する。この方法を使えば、接着接合やボルトファスナー締結といった煩雑な工程が不要になり、熱硬化性CFRPの部材同士、熱硬化性と熱可塑性のCFRP部材での高速組み立てが可能になる。
また、この方法で用いられる熱溶着層を持つ熱硬化性CFRPは、現行の航空機向けCFRPと同等の力学特性を持ち、接合した後の部材も一体成形品と同等の接合強度を持つことを確認。接合技術実用化に向けての信頼性も確保したとしている。
航空機構造のメインフレームとなる一次構造材には、長年の使用実績から信頼性の高い熱硬化性CFRPが用いられているが、部材を組み立てる工程での接着接合やボルトファスナー締結などがネックとなり、アルミ合金製機体に比べて生産時間がかかる。今回の技術が実用化されれば、アルミ合金製機体と同等以上の高レート生産が期待でき、機体の軽量化やCO2排出量削減も見込めるとしている。
