- 2022-6-4
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Aloke Kumar, PLOS One, Sporosarcina pasteurii, インド宇宙研究機関(ISRO), インド理科大学院大学(IISc), グアーガム, レンガ, 塩化ニッケル, 尿素, 火星, 火星移住計画
インド宇宙研究機関(ISRO)とインド理科大学院大学(IISc)の研究チームは、微生物を使って火星の土壌からレンガを作る方法を考案した。火星移住計画に必要な建物の材料を、その場で入手できる可能性がある。研究結果は、2022年4月14日付けの『PLOS One』に掲載されている。
この「宇宙レンガ」は、火星の土壌、微生物のSporosarcina pasteurii、尿素、有機ポリマーのグアーガム、塩化ニッケルが混ざったドロドロの液体を、型に流し込んで作る。微生物の尿素分解を利用した炭酸カルシウムの析出により、混合物は数日で固化してレンガになる。この工法は、複雑な形状のレンガの製造にも利用できる。
また、ほかの方法と違って、穴の少ないレンガを作れるという利点があるとしている。「微生物は土壌の隙間に深く浸透し、自身のたんぱく質を使って粒子を結合することで、多孔性を減らし、レンガの強度を高めている」と、IIScのAloke Kumar准教授は説明する。なお、火星の土は微生物に有害な鉄分を多く含んでいるため、塩化ニッケルを加えることで、微生物が活動しやすい快適な環境にする必要があるという。
研究チームは、火星の大気と重力が宇宙レンガに与える影響を調べるため、火星の大気シミュレーターも作製した。さらに、微小重力下における微生物の活性状態を測定するデバイスも開発済みで、将来、実際の宇宙空間で検証を進めるとしている。
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