- 2022-6-8
- ニュース, 技術ニュース, 電気・電子系
- PETフィルム, センサーチップ, テオフィン, ハイリスク薬, モニタリング, 使い捨て, 分子インプリントポリマー(MIP), 呼吸器疾患, 喘息, 研究, 芝浦工業大学, 薬剤, 血中濃度
芝浦工業大学は2022年6月7日、同大学工学部応用化学科の研究チームが、テオフィリンの血中濃度をリアルタイムで検出可能な使い捨てセンサーチップを開発したと発表した。
テオフィリンは、喘息などさまざまな呼吸器疾患の治療に有用であるものの、多量に摂取すると頻脈や頭痛などを引き起こすハイリスク薬剤だ。このため、治療中にテオフィリンの血中濃度をモニタリングすることが重要となる。
一方で、既存のモニタリング技術は、複雑な手順を要するため専門家でないと実施できず、時間やコストも掛かる点が課題となっていた。
同研究チームは今回、分子インプリントポリマー(MIP)を固定した電極と、紙およびPETフィルム製の基板で構成した使い捨て型のテオフィリンセンサーを開発した。
同センサーを用いてテオフィリンの検出能力を評価したところ、2.5μg/mLという低濃度のテオフィリンを含む血液サンプルからも安定して検出できることが判明した。
検出に要した時間は3秒となっている。一方で、他の薬剤にはほぼ応答を示さないことも確認した。
同研究チームは、抗菌薬や免疫抑制剤、抗ガン剤といったさまざまなハイリスク薬のモニタリングにも、今回開発したセンサー技術を応用できる可能性があるとしている。
同センサーは携帯可能で容易に取り扱えるため、患者自身でさまざまな薬物の濃度を調べることも可能。また、安価で作製できるため、開発途上国における普及も見込まれる。