世界最大のゼロエミッション運搬車両を鉱物採掘現場で公開――2MW水素燃料電池を搭載し、全高は3階建てビル相当

Image credit: Anglo American

英国を本拠とする鉱業大手のAnglo Americanは、2022年5月6日、ゼロエミッション運搬ソリューション「nuGen」の一部となる、水素駆動運搬トラックのプロトタイプを南アフリカの鉱山で公開した。このトラックの全高は3階建てのビルと同じ高さで、世界最大のゼロエミッション運搬トラックだ。

これまで同社が使用してきた運搬トラックでは、年間で数千リットルものディーゼル燃料を消費していた。しかし、エンジニアリング企業であるFirst Modeが設計製造した、2MW水素燃料電池とリチウムイオン電池パワープラントによるゼロエミッション電源を導入することで、自動車700台分の二酸化炭素を大気から排除できるという。

鉱業による二酸化炭素排出量は、世界の二酸化炭素排出量のうち約7%を占めており、中でもディーゼル運搬トラックのエネルギー使用量は鉱山現場における二酸化炭素排出量全体の50%にも相当する。Anglo Americanが所有する鉱山では、ディーゼル燃料消費量の70~80%は大型トラックによるものというのが現状だ。

しかし、世界経済フォーラムによると、地球温暖化などの気候変動による最悪の影響を回避するために必要なクリーンエネルギーへ移行するには、バッテリー、ソーラーパネル、風力タービン、その他の装置に30億トンもの金属が必要になる可能性があるという。

これまでのように二酸化炭素を排出することなく、クリーンエネルギーへの移行に必要な鉱物の持続的な調達を可能にするため、最大290トンの鉱石を運搬できるこの世界最大のゼロエミッション運搬トラックが大きな役割を担うことが期待されている。

First ModeのCEOであるChris Voorhees氏は、今回の発表について「Anglo Americanとのパートナーシップは、私たち全員が求める有意義で必要な変化をもたらすために、源流での脱炭素化に焦点を当てており、とても誇りに思う。このゼロエミッションであるクリーンエネルギーの躍進が、地球のための戦いで重要な行動を起こすよう、人々を刺激するものになることを期待している」と述べ、エネルギー革新への期待をにじませた。

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