風力タービンが食べられるグミに——さまざまな製品にリサイクル可能な樹脂を開発

Credit: John Dorgan

ミシガン州立大学の研究チームは、風力タービンブレードをリサイクルできる新しい複合樹脂材料を開発した。新しいブレードはもちろん、洗面ボウル、車のテールランプやオムツ、さらには食べられるグミの原料にも変換できる。研究結果は、2022年8月21~25日にハイブリッド開催された「ACS FALL 2022」で発表された。

風力タービンブレードは、ガラス繊維を原料とする。近年のブレード長は50m以上で、より発電効率を高めるために、ブレードは大型化する傾向にある。そこで、ブレードの交換や廃棄後の処理が問題となる。ガラス繊維をダウンサイクルして再利用する企業もあるが、ほとんどのブレードは処分場へ運ばれ、破砕されて埋め立てられる。

研究チームは、風力エネルギーの持続可能性を維持し、循環型経済を達成するために、ガラス繊維、植物由来のPLA(ポリ乳酸)、有機化合物のMMA(メタクリル酸メチル)を組み合わせ、リサイクル/アップサイクル/ダウンサイクル可能な熱可塑性樹脂を開発した。

新しい樹脂で作ったパネルは、タービンや自動車部品に使える程の強度と耐久性を備えていた。さらに、パネルをモノマーに溶かしてガラス繊維を物理的に除去し、再びパネルを作り出した。重要なことに、再生パネルは以前と同じ物理特性を備えていた。「我々の樹脂システムの優れている点は、使った後に、樹脂を溶解してどんなマトリクスからも解放し、何度でも無限ループで使えるということだ」と、研究を発表したJohn Dorgan博士研究員は語る。

例えば樹脂をほかの鉱物と混ぜると、人工大理石として洗面ボウルやキッチン天板に利用できる。回収した材料を粉砕してほかのプラスチック樹脂と混ぜれば、パソコンの筐体や電動工具も作れるという。

さらに、IPA(イソプロピルアルコール)や水酸化カリウムを使って加溶媒分解すると、テールランプ用のPMMAや、紙オムツ用の高吸水性ポリマーに変換できる。さらに、スポーツドリンクやお菓子の原料でもある乳酸カリウムも生成できる。Dorgan氏は、食品グレードの乳酸カリウムを回収して「グミ」を作り、実際に食べてみたという。

かつて風力タービンの一部だったものを、グミにして食べることに「嫌悪感」はないだろうか。Dorgan氏にとっては問題ないようで、「トウモロコシなど植物由来の炭素原子と、化石燃料由来の炭素原子に違いはない」と語る。「全て地球上のカーボンサイクルの一部で、我々は野原のバイオマスから、耐久性のあるプラスチック材料へ、そして食品へと循環できることを示した」としている。

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