ジェイテクトは2018年7月19日、耐熱性や耐食性を向上させた「PPS保持器付き円筒ころ軸受」を開発したと発表した。
従来、円筒ころ軸受用保持器の材料には炭素鋼(鋼板)や黄銅が使用されていたが、近年は軸受の高機能化を目的に、より軽量で潤滑性や低トルク性能も高い樹脂材を使用するケースが増加している。しかし、一般的な樹脂保持器の材料であるポリアミド材(66ナイロンや46ナイロン)は耐食性や耐熱性に限界があり、高温油中で使用されるポンプやモーターなどの油圧機器や冷媒ガスにさらされるコンプレッサーなどでの使用は困難だった。
そこで同社は、ポリアミド材よりも耐食性と耐熱性がともに高いものの、成形が困難だったPPS(Polyphenylene Sulfide、ポリフェニレンスルファイド)材に注目。2015年3月に同社が開発した「PPS保持器付きスラスト玉軸受」で量産実績を積むなど型成形技術も向上していたことから、この技術を円筒ころ軸受に転用し「PPS保持器付き円筒ころ軸受」を開発した。
同製品は従来の樹脂材料よりも耐熱性、耐食性に優れる一方、黄銅製保持器と比較して保持器重量を約86%軽量化した。軸受全体としては約11%の軽量化となる。また黄銅製保持器に比べ、起動トルクを約10%低減した。
売上目標は年商1億円で、油圧ポンプメーカーなどを販売先として視野に入れている。同製品はジェイテクトの徳島工場、国分工場、ダイベア(ジェイテクトグループ)で製造される。