耐寒性、耐熱性に優れた高エネルギー密度リチウムイオン蓄電池の開発

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カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、氷点下の寒さや炎熱の温度でも性能を発揮し、多くのエネルギーを蓄えることが可能な次世代のリチウムイオン蓄電池を開発した。

同研究成果は2022年7月5日、アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。

耐寒性、耐熱性に優れた同電池の特性は、低融点、高沸点のジブチルエーテルを用いた電解液によるものだ。ジブチルエーテルは、リチウムイオンとの結合力が弱いため、電池の動作時にリチウムイオンを容易に手放すことができ、氷点下での電池性能を向上させ、高温でも液体であるため、熱にも強い。

同研究では、リチウム金属を負極に、硫黄を正極に用いたリチウム/硫黄蓄電池にジブチルエーテル電解液を用いた。リチウム/硫黄蓄電池は、エネルギー密度の向上と低コスト化が期待できる次世代電池技術として注目されている。現在のリチウムイオン蓄電池に比べ、1kgあたりに蓄えられるエネルギーを最大2倍にでき、電池パックの重量を増やさずに電気自動車の走行距離を2倍にできる。また、硫黄は、従来のリチウムイオン蓄電池の正極に使われているコバルトよりも豊富で、調達に困ることもない。

しかし、リチウム/硫黄蓄電池は、正極も負極も非常に反応性に富んでおり、数十回程度の短いサイクル寿命という問題がある。研究チームが開発したジブチルエーテル電解液は、この問題も防ぐことができる。特に、硫化ポリマーを正極に用いた電池に、開発した電解液を適用することで、一般的なリチウム/硫黄蓄電池よりもサイクル寿命をはるかに長くすることが可能となったという。

試作した蓄電池では、マイナス40℃と50℃の環境下で、それぞれ室温の87.5%と115.9%のエネルギー容量を維持し、さらに、98.2%と98.7%の高い充放電効率を発揮した。次のステップとして、研究チームは、電池を大型化し、さらに高温で動作するように最適化し、サイクル寿命をさらに延長することで実用化を目指している。

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