変換効率29.8%――高効率型タンデム太陽電池セルを開発

  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

/© P. Tockhorn/HZB

ドイツのヘルムホルツ協会ベルリン(HZB)の研究チームが、ペロブスカイト-シリコンの高効率タンデム太陽電池の詳細技術を、2022年10月24日の『Nature Nanotechnology』誌に公開した。シリコンの下部セルの上に、ペロブスカイトの上部セルをタンデムで組み合わせたもので、界面にナノテクスチャを導入すると同時に、シリコン後面に誘電体バッファ層による反射構造を取り入れた。こうした工夫によって29.8%の変換効率を達成したことが、内外の関係機関によって公式に確認されている。

再生可能エネルギーとして、シリコンを中心とした太陽電池は、ますます技術開発競争が激化している。その中で、2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力教授が発表したペロブスカイト太陽電池は、シリコン太陽電池と同等の変換効率を維持しつつ、スピンコートなどによる簡便な製造方法を適用でき、製造コストおよび材料コストを低く抑えることができる。加えてデバイスとして薄く軽量でフレキシブルであるなど多くの特長を有していることから、世界的に注目され研究開発が活発化している。

一方、短波長光を吸収して発電するガリウム砒素半導体などのセルと、長波長光を吸収して発電するシリコンを上下に組み合わせて、幅広い波長領域の光エネルギーを効率的に変換できる、タンデム型太陽電池が検討されるようになっている。これまでに、透過型亜酸化銅を上部セルに用いたタンデム型太陽電池が、東芝によって発表されている。

異なる得意分野を持つ3グループから構成されるHZBの研究チームは、シリコンの下部セルとペロブスカイトの上部セルを組み合わせたタンデム太陽電池の開発にチャレンジし、両者の界面のナノ構造およびシリコン後面の反射膜の効果を、シミュレーション計算を基にして系統的に調べた。その結果、シリコン表面に緩やかな波状の周期的なナノテクスチャを導入することにより、界面が平坦な場合に比べて、反射損失を低減し、光吸収率を向上して光変換電流を増大することがわかった。

更に、膜厚変動に対する許容度が広くなったことで、高品質のペロブスカイト膜の生成が可能になり、製作歩留りが50%から95%に向上した。また、シリコン後面の反射層として誘電体バッファ層を導入することによって、近赤外波長領域の寄生吸収を低減して、シリコンによる光吸収率を高めることも明らかになった。最終的に、29.8%の光変換効率を達成することに成功し、30%の大台も視野に入ってきたと言える。

研究チームは、「カスタマイズされたナノテクスチャにより、多様なレベルでペロブスカイト半導体材料を高性能化することができる。ペロブスカイトとシリコンのタンデム太陽電池だけでなく、ペロブスカイト系発光ダイオードに対しても有効だ」と、期待している。

関連リンク

Tandem solar cells with perovskite: nanostructures help in many ways

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る