テラヘルツ級のコンピューターも――半導体より数千倍高速な水ベースの超高速スイッチを開発

ルール大学ボーフムの研究者らは、最先端の半導体スイッチの数千倍の速さで導電性になる、水ベースのスイッチを開発した。

コンピューターシステムは、トランジスタのスイッチング動作のON/OFFの状態を二進数の1と0に置き換えて、計算を実行している。そのため、トランジスタのスイッチング速度がそのコンピューターの計算速度の限界を決めることになる。スイッチング速度を上げるために、最先端の半導体材料などさまざまな技術が考案されているが、それでも「速度には限界がある」と、この研究の著者であるルール大学ボーフム校化学/生化学部のClaudius Hoberg博士は説明する。

研究チームは新しいスイッチを実現するために、高濃度のヨウ化ナトリウムを溶かした水、わかりやすく言えば「塩水」を使用した。この塩水を特注のノズルから数μmの薄いシート状にして噴霧した。「園芸用のホースを絞って水の噴射口を広く平らにするようなもので、それをもっと小さくしたものだ」と、Hoberg氏は説明する。

次に、波長400nmの短波長で強力なレーザーパルスを照射し、ウォータージェットを励起した。すると、溶解している塩から電子が飛び出して水は導電性を帯び、ほとんど金属のように振る舞うようになるという。これらすべてが 1ps(1ピコ秒=1 兆分の1 秒)未満で発生し、これはテラヘルツ(THz)帯のコンピューター速度に相当する。この水性スイッチは、現在知られている最速の半導体スイッチング速度よりも数千倍も高速だという。さらに2番目のレーザーが水の状態を読み取り、スイッチとしてのON/OFFの状態を識別することができるとしている。

水ベースのテラヘルツ波デバイスは、もっと高速なコンピューティングを可能にするかもしれないし、水を使った技術は、希土類金属の代わりにもっと環境に優しいものを提供できるかもしれない。しかし、これは現時点ではまだコンセプトの域を出ていない。この技術が電子システムに実用化されるには、まだまだ多くの課題を解決する必要がありそうだ。

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An ultra-fast liquid switch for terahertz radiation

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