シリコーンコートタイプのエアバッグ端材からリサイクルナイロン66樹脂を開発東レ

東レは2023年1月26日、シリコーンコートタイプのエアバッグ端材から、バージン原料由来の射出成形グレードと同等レベルの流動性、機械物性を有する「リサイクルナイロン66（N66）樹脂」を開発したと発表した。リサイクル素材、製品の全社統合ブランド「Ecouse」に、初めて「“Ecouse”AMILAN」として樹脂製品をラインアップする。

リサイクルN66樹脂は、東レが特定の添加剤を、再資源化事業者のリファインバースがエアバッグ端材からシリコーン樹脂を剥離、洗浄工程を経てリサイクルした再生樹脂に複合し、開発した。

エアバッグには、N66基布にシリコーン樹脂をコーティングしたシリコーンコートタイプと未加工のシリコーンノンコートタイプがあり、シリコーンノンコートタイプの製造工程で発生した端材はリサイクルされている。

シリコーンコートタイプの製造工程で発生した端材は、再利用する際に、シリコーン樹脂を剥離、洗浄する必要があり、日本国内ではリファインバースの事業化で初めて量産的にリサイクルされている。

しかし、リサイクルで剥離、洗浄工程を経た原料の場合も、シリコーン樹脂が少量残存する。射出成形した際には、物性低下や金型汚れを引き起こす場合があった。また、エアバッグの糸が高粘度であることから、射出成形用途への適用に制約があった。

同社は、特定の添加剤を複合することによって、成形品表面への残存するシリコーン樹脂の移行を抑制。大幅に金型への付着を低減した。シリコーンコートタイプエアバッグ由来のリサイクルN66樹脂にこの技術を適用すると、バージン原料由来の射出成形グレードと同等レベルの流動性、機械物性を有する。

サンプルワークは、2023年4月以降に本格的に開始。リサイクル原資を海外拠点で調達し、グローバル供給体制を整える計画をしている。また、廃車から回収したエアバッグから作る再生樹脂を原料にした商品化も検討していく。

Ecouseは、「“Ecouse”AMILAN」をラインアップしたことにより、環境配慮型樹脂材料「Ecouse」シリーズの展開を加速する。これまで同社は、マテリアルリサイクル樹脂製品を展開し、使用済みのエアコン部品を再度エアコン部品にリサイクルする水平リサイクルなどを実施しているが、今後は使用済みの自動車部品や各種産業機器のリサイクルの取り組みも強化、拡充する。

また、バージン材料並みの物性を有するケミカルリサイクル樹脂製品として、PBT（ポリブチレンテレフタレート）樹脂「“Ecouse”TORAYCON」の上市を予定。今後、自社ポリマーのマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの検討を進めていき、Ecouseシリーズを拡大していく。

シリコーンコートタイプのエアバッグ端材からリサイクルナイロン66樹脂を開発　東レ