- 2023-3-3
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- Megan O’Connor, Nth Cycle, Oyster, インフレ抑制法, ニッケル・コバルト混合水酸化物(Mixed Hydroxide Precipitate: MHP), 国内調達とリサイクル材含有率, 温室効果ガス, 電気自動車(EV)
金属精錬企業の米Nth Cycleは2023年1月31日、ニッケル生産の中間原料となるニッケル・コバルト混合水酸化物(Mixed Hydroxide Precipitate: MHP)の生産を、米国内で初めて開始すると発表した。MHPは、電気自動車(EV)用バッテリーの基礎材料である。
同社が開発した電解抽出装置「Oyster」が生成するMHPは、既存のMHPに比べて水酸化ニッケルと水酸化コバルトの含有率が高い。従来のMHPではニッケルが30~40%、コバルトが1~6%程度に留まっていたが、Nth Cycleの装置によるMHPは、90%以上の水酸化ニッケル・コバルトを含有する。
また、MHPの生産過程で排出する温室効果ガスは、従来プロセスにおける排出量の90%以上を削減した。この数値は、2022年にアメリカで成立したインフレ抑制法が要求する、「国内調達とリサイクル材含有率」の要件を満たすものだ。
アメリカでは2023年にEV販売数の劇的な増加が見込まれており、すでにMHPの需要が急拡大している。その一方で、MHPの調達はインドネシアへの依存が高い現状があり、EVバッテリーのサプライチェーンの観点でリスク要因となっていた。
共同創業者でCEOのMegan O’Connor氏は、このMHP生産技術の意義を「EVバッテリー生産者らが直面しているサプライチェーン上の課題を、経済性と効率の両面から解決できる」と強調した。
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