英政府、約9億円規模のプロジェクトに助成金拠出――水素で動く自律型船舶による国内貨物輸送実現を目指す

水素を動力源とする船舶の開発製造を手掛けている英ACUA Oceanが率いるコンソーシアム「Hydrogen Innovation – Future Infrastructure & Vessel Evaluation and Demonstration(HI-FIVED)」は、ゼロエミッションインフラプロバイダーの英Unitroveと提携し、世界初の液体水素を動力源とする自動運転船舶とその関連インフラを構築する540万ポンド(約8億9400万円)規模プロジェクトに対し、英国政府助成金を獲得した。

海運セクターの脱炭素化のために運輸省内に新しく設立された専門組織であるUK Shipping Office for Reducing Emissions(UK SHORE)は、2022年から2025年にかけて、英国製のクリーン海上技術の設計、製造、運用を加速させ、業界主導でネットゼロへの移行を実現することを目的とした一連の介入策を実施している。同プロジェクトは、2022年9月に発表された「Clean Maritime Demonstration Competition Round 3(CMDC3)」の一部だ。

スコットランドのアバディーンと、オークニー諸島およびシェトランド諸島を結ぶグリーン輸送回廊を確立し、水素で動く自律型船舶による貨物輸送の実現を目的としており、2024年秋の完了を予定している。また、世界初の液体水素給油施設を開発したUnitroveは、アバディーン港に移動式燃料補給技術を展開することを検討している。

ACUA OceanのCOOであるMichael Tinmouth氏は、「技術実証を成功させることは、海運の脱炭素化に向けた将来の投資のリスク軽減のために非常に重要です。このCMDC3プロジェクトには、海事セクターの革新的なパートナー、下請け業者、サプライヤーがコンソーシアムとして参加しており、排出量を削減し、新技術の採用と商業化を加速させる必要性に焦点を当てています」と述べている。

イギリスのMark Harper運輸大臣は、海運セクターによる輸入が航空セクターと鉄道セクターの合計よりも多いことに触れ、「経済成長を政府の最優先事項の1つとする中、英国が最先端のクリーンな海事ソリューションのパイオニアであり続けるために努力し続けなければなりません。今回の資金提供は、まさにその一助となるものであり、有害排ガスを出さないコンセプトを実現し、イノベーションを促進するものです」と述べている。

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Media: Press Release | Unitrove

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