- 2023-5-9
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- CDW, スイッチングナノデバイス, フェルミ面, 二次元物質, 東北大学, 研究, 絶縁体, 電荷密度波, 電荷配列, 高次ネスティングベクトル
東北大学は2023年5月8日、高次ネスティングベクトルによって二次元物質の電荷配列現象が生じていることを解明したと発表した。
グラフェンや遷移金属ダイカルコゲナイドなどの低次元の層状物質で見られる電荷密度波(CDW)の発生機構は、これまでルドルフ・パイエルスが提唱した基礎理論で説明されてきた。しかし中には例外的な物質もあり、そのようなCDWの発生機構の解明が課題となっていた。
今回、分子線エピタキシー(MBE)法を用いて2テルル化バナジウム(VTe2)を作製した後、原子置換(トポタクティック反応)法によってテルル(Te)原子を硫黄原子に置換して原子層VS2を作製。その電子構造をマイクロARPESおよび走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて観測した。
その結果原子層VS2が、電子が存在できる境界域であるフェルミ面の全領域でエネルギーギャップを持つ絶縁体であり、さらに1次元的に電荷配列した特異なCDWが生じていることを発見した。この現象は、従来のパイエルスの基礎理論による単純なネスティングベクトルでは説明できず、その2倍の高次ネスティングベクトルによって説明できることが分かった。具体的には、原子層VS2においては、高次ネスティングベクトルによって電子がフェルミ面間を自由に移動することで高いエネルギー利得が生じて、CDWと絶縁体状態が安定しているという。
今回の研究成果は、いまだ全容が解明されていない二次元物質におけるCDWのメカニズム解明や、原子層材料を用いたスイッチングナノデバイスなどの開発にもつながることが期待されるという。
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