泡沫が塗り広げられる際の挙動を解明――3種類のパターンが存在 東京都立大学

東京都立大学は2023年7月28日、泡沫が塗り広げられる際の挙動を解明したと発表した。

多数の気泡が少量の液体中に詰まった状態である「泡沫」は、油や微粒子を内部に吸収しやすかったり、熱や物質の移動を妨げたりする特質を持ち、これらの特質を生かしてさまざまな原料や生活用品などに利用されている。しかしこの泡沫が塗り広げられる際の挙動やメカニズムなどについては、これまで解明されていなかった。

今回の研究では、次のような方法で調査した。生成した界面活性剤を親水性の低い基板上に載せ、それを基板ごと横に移動。移動方向にある固定したアクリル板によって泡沫を塗り広げ、その際の挙動を調査した。

調査の結果、塗り広げる速度によって3種類の異なる挙動が存在することが分かった。まず低速度では、最初の泡沫の幅と同じ程度の幅で塗り広げられ、その後泡沫の量が減るに従い緩やかに幅が狭まる。中程度の速度では、薄い液膜を形成しながらアクリル板に押されて基板上を滑っていくだけで、泡沫は塗り広げられない。さらに高速になると、今度は低速時よりも狭い幅でまっすぐに塗り広げられる。

実験概要
(a)横からの写真。幅Lの固定されたアクリル板に向かって,親水性の低い基板においた泡沫を速度Vで動かす。(b)上からの写真。泡沫の初期値はWoとなっている。

このような3パターンの挙動は、用いる基板の親水性が低い場合のみに現れる。また、挙動パターンが変わる際のしきい値となる移動速度が、基板とアクリル板の間隔や泡沫の量などを変数とした、一定の式で表すこともできた。

今回の解明した挙動は、泡沫だけではなく、マヨネーズなどのエマルジョン分散系や赤血球などのソフトジャミング系でも同様だ。今回の研究結果により、泡沫やソフトジャミング系の動力学に対する理解が深まることや、産業への応用が期待できるという。

関連情報

ニュース :: 【研究発表】塗り広げられる泡沫の挙動を解明 ~泡沫やエマルジョンの効率的塗布によるSDGsへの寄与が期待~ | 東京都立大学

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