防衛装備庁、レールガン射撃試験の動画を公開――世界初のレールガン洋上射撃も

防衛省 防衛装備庁公式チャンネル(ATLA Official Channel)/YouTube

防衛装備庁(ATLA)は2023年12月1日、開発中のレールガンの射撃試験動画をYouTubeで公開した。レールガンの開発については、同庁が2023年11月14〜15日に開催した「防衛装備庁技術シンポジウム2023」でも紹介されている。

レールガンは、電気エネルギーを利用して弾丸を発射する装置だ。電源部、一対の砲身レール、弾丸を発射するための電機子からなる。この回路に電流を流すと、砲身に磁界が発生。この磁界と電機子に流れる電流が相互作用することで、電機子に前方へ向けたローレンツ力が発生し、電機子と弾丸が加速される。火薬の力で弾丸を飛ばす従来の火砲より、初速を大幅に増大できるのが特長だという。

同庁による研究試作のレールガンは、実績最大値2297m/sという極超音速で弾丸を発射できる。速くても初速が約1750m/s(戦車砲)の火砲に比べ、威力の増大、射程の延長、命中率の向上が見込めるという。また、小型弾丸で極超音速のため探知・迎撃されにくい、威力を容易に制御できる、火薬を使わないためより安全といった利点も紹介されている。

現在、高初速を保ちつつ、繰り返し安定した発射をすることが課題となっている。防衛装備庁技術シンポジウム2023で報告された研究では、新たな放電方式や砲身レール材料などを用いることで、砲身レール損傷を低減し、初速2000m/s以上で弾丸120発の連続発射に成功した。

また、このたび公開された動画は、最新の研究の速報となっている。2016年度から開発が開始された電磁加速システムの発射実験の模様から始まり、レールガンのメカニズムや特徴などをCG映像も用いて説明。その上で、2023年度の射撃試験で、レールガンから発射された弾丸が艦艇を模した複数枚の鋼板を貫通する様子や、レールガン装置を海上自衛隊の艦船に搭載して、海上での射撃試験を行った映像などを公開した。レールガンの洋上射撃は世界初の試みだったという。

関連情報

防衛装備庁技術シンポジウム2023~防衛技術指針2023と防衛力の抜本的強化につながる研究開発について~(動画)
極超音速レールガン連続射撃への挑戦(PDF)

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