月の縮小が月震を引き起こす――危険性が高い地域にアルテミス計画の着陸候補地も

Image Credit: NASA/ LRO/ LROC/ASU/ Smithsonian Institution

米メリーランド大学の研究チームが、NASA含む研究機関と共同で月の地殻変動や月震活動に関する研究を発表した。月の継続的な縮小が月震を引き起こす可能性があるとしており、その影響を受けやすい地域の中にはNASAの有人月面着陸プログラム「アルテミス計画」の着陸候補地点が含まれている。

同研究成果は2024年1月25日、「The Planetary Science Journal」に掲載された。

過去数億年の間に月の核が徐々に冷やされたことにより、円周が150フィート(約46m)以上縮小していることが分かっている。ぶどうがレーズンになる際に体積が小さくなると同時にしわができるように、月も縮むと同時にしわができるが、ぶどうと違い柔軟性のない月の地表では、しわの部分で地殻が互いに押し付けられ、断層が形成される。こうした断層の形成は月震を伴うことが多く、震源が浅い場合ではわずか100マイル(約161km)ほどで、建物や人工物があれば損傷を受ける可能性があり、揺れは数時間続くこともあるという。実際、1970年代のアポロ計画でもマグニチュード5の月震が観測されており、研究チームは無人衛星により撮影された断層がこの月震と関連していると指摘する。

研究チームはアルテミス計画の安全性確保のため、今後も月震活動の研究を継続し、危険な地域の特定を目指すとしている。

関連情報

The Moon is Shrinking, Causing Landslides and Instability in Lunar South Pole | College of Computer, Mathematical, and Natural Sciences | University of Maryland

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る