ヨーロッパ最深の鉱山跡を利用する重力蓄電技術「GraviStore」

スコットランドのGravitricityは、ヨーロッパで最も深い亜鉛と銅の鉱山である、フィンランド中央部ピハサルミ鉱山に自社で開発した重力蓄電技術を導入する予定だ。

Gravitricityは、高出力で高効率、長寿命のエネルギー貯蔵システムの高い需要を認識し、従来電池に代わって再生可能エネルギーを蓄電する、重力を利用したシンプルな蓄電システム「GraviStore」を開発した。

GraviStoreは、既存の坑道を利用して深い立て坑でウインチに取り付けたケーブルで重りを吊り下げる。再生可能エネルギーの過剰電力で重りを持ち上げ、必要なときに重りを下して発電する仕組みだ。素早く下すと大量の電力を素早く発電し、ゆっくりと下すと小さな電力を長期に放出する。

同システムは、50年以上の長寿命かつ1秒未満の高速応答、80%の高い往復効率という性能を有し、可燃性化学物質を使用しない安全なエネルギー貯蔵システムとしての特徴を持つ。

今回開発予定のピハサルミ鉱山は、フィンランドの首都ヘルシンキの北約450kmに位置し、地下1444mに広がっている。ピハサルミ鉱山の操業が2022年8月に終了したため、地元コミュニティは、エネルギー貯蔵を含む鉱山のインフラ周辺の再開発プロジェクトを検討する開発会社を設立した。

Gravitricityは、深さ530mの補助坑道にGraviStore重力蓄電技術を導入する予定だ。ピハサルミの2MW計画は、フィンランドの電力網にグリッド・バランシング・サービスを提供する。

同プロジェクトは、耐用年数が終わりに近づいている鉱山に可能性を提供するとともに、伝統的な採鉱事業の終息によって影響を受ける地域に、新規雇用を提供することにもなるという。

Gravitricityのマーティン・ライト会長は、「本プロジェクトは、われわれの技術がエネルギーの需要が少ない時にエネルギーを回収/貯蔵し、必要な時に迅速に放出できる、信頼の高い長寿命エネルギー貯蔵を提供できるかを実証します」と説明した。

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Technology – Gravitricity

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