地熱を利用したクリーンで安価な二酸化炭素回収手法を開発

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オハイオ州立大学の研究チームが、クリーンで安価な地熱エネルギーを用いて、大気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収する技術を開発した。研究成果は、『Environmental Research Letters』誌に2023年11月30日付で公開されている。

温室効果ガスの大部分を占めるCO2の蓄積は、気候変動の主な原因の一つだ。そのため「Direct Air Capture(DAC)」と呼ばれる大気中からCO2を直接回収する技術の研究が進められている。しかし、既存のDAC技術は高価であるだけでなく、エネルギーを必要とするため大気中に温室効果ガスを排出する可能性がある。

そこでオハイオ州立大学の研究チームは、DAC技術と地熱利用技術を組み合わせることで、大気中のCO2を削減するとともに、再生可能エネルギーを産生する技術を開発した。「Direct Air CO2 Capture with CO2 Utilization and Storage(DACCUS)」と名付けらたこの技術は、大気中のCO2を回収し地中に安全に貯蔵することで、大気中のCO2濃度を減少させるだけでなく、回収したCO2の一部を循環させてシステムの動力源となる地熱エネルギーの抽出効率を高めるために利用する。CO2を循環させることで地熱が地表に近づくため、余分な化石燃料を必要とせずに地熱発電所の性能を向上させることができる。

DACCUSシステムの実証実験が、メキシコ湾岸地域でケーススタディとして開始された。研究チームによると、メキシコ湾岸はCO2を安全に地下に送り込むのに適した地質と、地熱エネルギーを十分に利用できる熱流束があるため、DACCUSシステムの稼働に適しているという。

ただし、DACCUSには課題もある。DACCUSシステムが大気中から温室効果ガスを回収できるようシステムを起動するためには、工場などからCO2を回収してある程度まで貯蔵しておく必要がある。この初期貯蔵には約5年の期間が必要で、2025年にDACCUSシステムが完成したとして、大気からのCO2の回収は2030年になる。

研究チームは、2050年までにメキシコ湾岸の27の地層の1つに25基のDACCUSシステムを設置できると見積もっている。一般的に地熱エネルギーのCO2排出量は非常に少ないが、DACCUSではCO2を利用するため、さらに排出量を削減できる。このシステムが実現すれば、地球温暖化を抑制するという社会課題の解決に役立つ可能性がある。

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