高齢者介護施設にAIを導入すると高齢者差別を助長する可能性――AI支援へ向けた解決の糸口も

オーストラリアのモナシュ大学は2023年3月10日、高齢者介護施設に人工知能(AI)を取り入れると、高齢者差別や社会的不平等を悪化させる可能性があるという研究を発表した。

この研究では、AI技術の設計および導入において、高齢者に対する見方が重要と考えられている。今回、AI開発者、高齢者ケアスタッフ双方が、高齢者はテクノロジーを使用することに関心がない、あるいは能力がない、あるいは両方であると想定していることが示された。

このように、高齢者はテクノロジーに対して依存的で、無能、関心がないとして設計することにより、高齢者差別が発生する可能性がある。

また、ロボットから音声アシスタントまで、AI技術を高齢者介護に導入する場合、高齢者のためにテクノロジーをどのように使用するのが最適なのかを、介護者が選択することになる。この選択が原因で、高齢者差別を悪化させる可能性がある。

さらに、高齢者介護のスタッフや支援者は、AIの価値について批判的で、人間をロボットに置き換えることや、機械の故障に誰が責任を持つのかということに懸念を抱いているという。

今後、AI技術がより良い形で高齢者介護を支援できるようにするためには、高齢者介護施設の居住者に対する固定観念やスタッフの意識を変える必要があり、AI開発者は高齢者のために設計し、高齢者を考慮に入れた、アクセスしやすく差別のない技術を作り出さなければならないことが明らかになった。

関連情報

New report finds artificial intelligence fuels ageism in aged care – Medicine, Nursing and Health Sciences

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