高温超電導モーターを搭載した大流量、高効率の液化水素ポンプの運転試験に成功 京大と酉島製作所

京都大学工学研究科の中村武恒特定教授は2024年3月14日、酉島製作所と共同で、世界で初めて、高温超電導モーターを搭載した大流量、高効率の液化水素ポンプを開発し、運転試験に成功したことを発表した。高温、高圧多段ポンプで培った技術を生かし、5000min-1の高速回転を実現している。

燃焼時にCO2を排出しない水素は、カーボンニュートラルの達成に欠かせないものだが、水素コストの低減が必須となっている。そのための有効解決策には、水素を液化し、800分の1の体積にして大量運搬することが考えられている。その際、大流量、かつガス化しないよう効率的に、-253℃まで冷却した液化水素を移送するポンプが必要不可欠となる。そこで、高温超電導モーターを搭載した液化水素ポンプを開発した。

密度の小さい液化水素の昇圧には、高速回転で高いポンプヘッドが必要だが、ポンプ振動や軸スラスト制御には高い技術力が要求される。これに対し、酉島製作所が高温、高圧多段ポンプ開発で培った技術を生かし、5000min-1の高速回転を実現した。

液化水素のガス化抑制には、液化水素が-253℃であるという極低温環境を逆に利用し、高温超電導モーターを利用した。モーター発熱を極限まで低減し、液化水素のガス化を抑制することで、効率的な液化水素の昇圧に対応している。

-253℃の液化水素を用いた運転試験は、宇宙研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場(秋田県)で3月6日、7日に実施した。開発したポンプは、流量30.5m3/hr、圧力1.6MPa、回転数5000min-1。想定通りの性能を確認し、液化水素ポンプとして世界最大流量、遠心ポンプによる昇圧量として世界最高圧を達成した。

今後、2030年以降の水素サプライチェーン商用化に向けて、さらなる大流量、高圧力を目指す。

関連情報

世界初! 大流量の液化水素ポンプ運転試験に成功!~超電導モータをはじめて産業機械に搭載し、高効率を達成~ — 京都大学 工学部・大学院工学研究科

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る