- 2024-4-2
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- イオン化ポテンシャル, バンドアライメント, マテリアルズインフォマティクス, 東京工業大学, 東北大学, 機械学習, 産業技術総合研究所, 研究, 第一原理計算, 電子親和力
東京工業大学と東北大学は2024年3月29日、東京工業大学および産業技術総合研究所が、量子力学の基本原理に基づいた理論計算である第一原理計算により生成した大規模な理論計算データ、および機械学習を用いて、無機材料表面の基本的な電子構造を網羅的に予測することに成功したと発表した。
近年、マテリアルズインフォマティクス(MI)が注目を集めている。材料特性を予測する同手法を用いることで、材料開発の時間を短縮することが可能だ。
固体表面の性質の予測に着目すると、固体表面は内部の状態とは異なるためバルクとは違う性質が発現する。特にイオン化ポテンシャル(IP)と電子親和力(EA)は、半導体や絶縁体の電子状態に関する基本的な物理量で、光触媒や電子/光電子デバイスなどを設計する際の重要な指針となる。しかし、固体表面は不純物が吸着しやすく、正確なIPなどを計測することが難しいという問題があった。
また、理想的な表面の考慮が可能な第一原理計算を用いることで、IPなどを知ることは可能だが、高精度な予測には膨大な計算量が必要であるなどの課題があった。
今回の研究では、第一原理に基づいた最先端のハイスループット計算手法を採用。約3000種類の酸化物表面の緩和構造と表面エネルギー、およびIP、EAを計算した。さらに、機械学習による予測モデルを用いることで、表面の方位と終端面の位置情報だけでIP、EAを高精度に予測することに成功した。
今回開発した手法によって、光触媒や電子/光電子デバイスなどの設計時に指針となる、無機質材料表面のバンドアライメントがさまざまな物質に関して予測可能になる。また、同手法は表面以外の特性の予測にも適用できることから、MIによる材料開発を加速することが期待されるという。
今後、バンドアライメントの観点での酸化物材料のスクリーニングに同手法を応用していく。また、硫化物や窒化物など他の物質系の表面特性予測にも展開する予定だ。さらに、表面以外の特性の予測にも応用していく。
なお今回の研究チームの東京工業大学 清原慎JSPS特別研究員は、現在、東北大学の所属となっている。
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