東京工業大学は2021年6月18日、抵抗変化型ガスセンサーの電極間隔(ギャップ長)を20nmのナノギャップ電極にすることで、従来より約300倍高速化したガスセンサーを開発したと発表した。
ガスセンサーは医療や健康分野、環境や安全分野などにおいてさまざまな目的で利用されており、今後もその高速化や高機能化が欠かせないデバイスだ。
今回従来から同大学で進めてきた電子線リソグラフィによるギャップ長の制御を応用し、抵抗型ガスセンサーのギャップ長とその応答速度の関係を検討。その結果、ギャップ長が35nm以下になるとガスセンサー応答が高速化することを発見した。電子線リソグラフィとは、半導体集積回路の製造過程で、電子線を使って回路パターンを形成する方法だ。
実際にガス検出材料として酸化セリウムを用いてボトムコンタクト型およびトップコンタクト型の白金ナノギャップ電極を作製。ギャップ長20nmのトップコンタクト型ナノギャップガスセンサーと、従来のギャップ長12μmのものと応答速度を比較した結果、前者は10秒で後者は3200秒となり約300倍高速化した。
今回ガス検出材料として採用した酸化セリウムは酸素ガスに対して高い選択性がある。このガス検出材料を選択することで、さまざまなガスに対応する既存のガスセンサーの高速化/高機能化ができるようになるため、今後産業用途への幅広い応用が期待されるという。同大学では今後、企業などと連携して実用化に向けた研究開発を進める。